目次
カーボローディングのやり方完全ガイド
3日間の食事スケジュール・体重別糖質量・おすすめ食材TOP10
【マラソン・大会前】
🔑 基本定義:大会3日前から糖質を体重1kgあたり8〜12gに増やし、グリコーゲンを最大充填する食事戦略
📊 糖質量の目安:体重60kgなら1日480〜720gの糖質(標準は10g/kg=600g)
⚠️ 胃腸トラブル防止:脂質・食物繊維・乳製品は前日までに絞ることが必須
✅ 推奨する実施法:枯渇フェーズなしの「モディファイド法」が市民ランナーの標準
SEC01 カーボローディングとは何かカーボローディングとは何か?「グリコーゲン貯蔵」の仕組みから理解する
グリコーゲンとは何か
糖質(炭水化物)は体内に入ると分解されてグルコース(ブドウ糖)になり、筋肉と肝臓にグリコーゲンとして貯蔵されます。筋グリコーゲンは運動中のエネルギー源として直接使われ、肝グリコーゲンは血糖値の維持に使われます。
| 貯蔵部位 | 通常量 | カーボローディング後 |
|---|---|---|
| 筋グリコーゲン | 約300〜400g | 約500〜700g |
| 肝グリコーゲン | 約75〜100g | 約100〜120g |
| 合計エネルギー換算 | 約1,500〜2,000kcal | 約2,400〜3,280kcal |
カーボローディングが有効な種目
🏃 フルマラソン・ハーフマラソン(90分超えの場合)
🏔️ トレイルランニング・ウルトラマラソン
🚴 ロードバイク・トライアスロン
🏊 長距離水泳
⚠️ 筋トレや短距離走など60分未満の高強度運動では恩恵がほぼありません。
「カーボアップ」との違い
| 比較項目 | カーボローディング | カーボアップ |
|---|---|---|
| 主な目的 | 持久系スポーツのグリコーゲン最大化 | ボディビル競技・コンテスト直前の筋肉の張り出し |
| 前提となる操作 | 枯渇なし(モディファイド法)またはあり(クラシック法) | 糖質枯渇(ディプリーション)→補充のサイクルが前提 |
| 対象スポーツ | マラソン・トライアスロン等90分以上の持久系 | ボディビル・フィジーク等の競技 |
| 期間 | 大会3〜4日前から | コンテスト直前(1〜2日前) |
SEC02 2つの実施方法・どちらを選ぶかカーボローディングの「2つの実施方法」どちらを選ぶべきか
クラシック法 vs モディファイド法(現代標準)
大会7〜4日前:高強度運動でグリコーゲンを意図的に枯渇させる
大会3〜1日前:高糖質食で超補償を狙う
⚠️ 枯渇フェーズ中に疲労・免疫低下・故障リスクが高まるため、現在は一般ランナーへの推奨が減っています
枯渇フェーズなし
大会3〜4日前から糖質摂取量を増やすだけ
運動量は徐々に落とす(テーパリングと組み合わせる)
✅ クラシック法と同程度のグリコーゲン貯蔵量に達することが研究で示されています
SEC03 体重別・1日の糖質必要量【体重別早見表】1日の糖質必要量を正確に計算する
体重別・1日の糖質目標量早見表(8〜12g/kg)
カーボローディング中の糖質推奨量は、体重1kgあたり8〜12g/日が国際的な推奨値として確立されています(ISSN・IOCガイドライン)。
| 体重 | 最小(8g/kg) | 標準(10g/kg) | 最大(12g/kg) |
|---|---|---|---|
| 45kg | 360g/日 | 450g/日 | 540g/日 |
| 50kg | 400g/日 | 500g/日 | 600g/日 |
| 55kg | 440g/日 | 550g/日 | 660g/日 |
| 60kg | 480g/日 | 600g/日 | 720g/日 |
| 65kg | 520g/日 | 650g/日 | 780g/日 |
| 70kg | 560g/日 | 700g/日 | 840g/日 |
| 75kg | 600g/日 | 750g/日 | 900g/日 |
| 80kg | 640g/日 | 800g/日 | 960g/日 |
糖質量を食材に換算する目安(体重60kg・糖質600g目標の場合)
| 食材 | 1単位の量 | 糖質量 | 600gに必要な量 |
|---|---|---|---|
| 白米(炊いた状態) | 茶碗1杯(150g) | 約55g | 約10〜11杯分 |
| うどん(ゆで) | 1玉(200g) | 約42g | 約14玉分 |
| パスタ(ゆで) | 1皿(200g) | 約55g | 約11皿分 |
| 食パン(6枚切り) | 1枚(60g) | 約28g | 約21枚分 |
| バナナ | 1本(100g) | 約22g | 約27本分 |
カロリーオーバーへの対処
糖質を大幅に増やすと総カロリーも増えます。カーボローディング中は脂質を通常の半分程度に抑えることでカロリーをある程度コントロールできます。糖質を増やしても総摂取エネルギーの急増を防げます。揚げ物・バター・脂身の多い肉などを一時的に避け、鶏むね肉・白身魚・卵白などの低脂質なたんぱく質源に切り替えることが実践的な対処法です。
SEC04 3日間×朝昼夜の献立例【3日間×朝昼夜の献立例】体重60kgモデルケースで完全再現
体重60kg・糖質目標600g/日のモデルケースで、3日間の具体的な献立を提示します。自分の体重に合わせて分量を比例調整してください。
白米 茶碗3杯(糖質165g)・目玉焼き 1個・梅干し 1個・味噌汁(豆腐・わかめ)・バナナ 1本(糖質22g)
ざるうどん 2玉(糖質84g)・おにぎり 2個(糖質80g)・いなり寿司 2個(糖質36g)・鶏むね肉のさっぱり煮(少量・脂質控えめ)
白米 茶碗3杯(糖質165g)・鮭の塩焼き・ほうれん草のお浸し(少量)・豆腐の味噌汁
白米 茶碗3杯(糖質165g)・温泉卵 1個・納豆(少量に抑える)・バナナ 1本(糖質22g)・オレンジジュース 200ml(糖質20g)
スパゲティ(トマトソース・ナポリタン)1.5皿分(糖質83g)・食パン 2枚(糖質56g)・いちごジャム少量(糖質15g)・低脂肪ヨーグルト少量
白米 茶碗3杯(糖質165g)・鶏むね肉の塩こうじ焼き(脂質控えめ)・きゅうりの浅漬け
前日は特に胃腸への負担を最小化することが優先です。消化の良い食材のみを使います。
白米 茶碗3杯(糖質165g)・梅干し 1個・だし巻き卵(少量の油のみ)・コンソメスープ(具なし)・バナナ 1本(糖質22g)
うどん(かけうどん・シンプルに)1.5玉(糖質63g)・おにぎり 3個(糖質120g)・温泉卵 1個
白米 茶碗3杯(糖質165g)・鶏むね肉の塩焼き(皮なし・脂質最小)・豆腐の味噌汁(具は豆腐のみ)
⚠️ 香辛料・揚げ物・乳製品・食物繊維の多い野菜は完全に除く
🍙 白米 茶碗2〜3杯またはおにぎり 2〜3個
🍌 バナナ 1本
🥤 スポーツドリンク 500ml
⚠️ 固形物は消化しやすいものだけ。油・乳製品・食物繊維の多いものは避ける
SEC05 おすすめ食材・避けるべき食材カーボローディングに向いている食材・避けるべき食材
おすすめ食材TOP10(高糖質・低脂質・低食物繊維・消化が良い)
| 順位 | 食材 | 選ぶ理由 |
|---|---|---|
| 1 | 白米 | 消化が良く脂質ほぼゼロ・糖質密度が高い |
| 2 | うどん | 低食物繊維・消化に優れた主食の王道 |
| 3 | 食パン(白) | 手軽に糖質補充できる・脂質少なめ |
| 4 | パスタ(シンプルなソース) | GI値が比較的低めで血糖スパイクを抑えやすい |
| 5 | バナナ | 消化が早く持ち運びやすい・即効エネルギー源 |
| 6 | 餅(切り餅) | 体積が小さくて高糖質・食べやすい |
| 7 | スポーツドリンク | 水分補給と同時に糖質補充 |
| 8 | はちみつ | 少量で高糖質・消化負担が少ない |
| 9 | 低脂肪ゼリー飲料(マルトデキストリン系) | レース直前の補給に最適 |
| 10 | うるち米のおにぎり(梅・塩) | 具材の選択で脂質・繊維を完全コントロール |
前日・当日に避けるべき食材
| カテゴリ | 具体例 | 避ける理由 |
|---|---|---|
| 高脂質食品 | 揚げ物・バター・脂身の多い肉・牛乳 | 消化に時間がかかり当日の胃もたれ原因 |
| 高食物繊維食品 | 玄米・ブロッコリー・ごぼう・豆類 | 腸内ガスが発生しやすく消化負担大 |
| 乳製品(前日) | 牛乳・ヨーグルト・チーズ | 下痢リスクが高まる(特に乳糖不耐症の方) |
| アルコール | ビール・ワイン全般 | 利尿作用で脱水・グリコーゲン合成を阻害 |
| 香辛料・刺激物 | カレー・唐辛子・ニンニク過多 | 消化器系への刺激・腹痛リスク |
| 新しい食材 | 初めて食べる食品全般 | 本番直前に体の反応を試すのはリスク大 |
SEC06 失敗パターン5つと対策失敗パターン5つと対策
前日だけ大量に食べても、筋グリコーゲンの貯蔵には最低2〜3日間の高糖質食が必要です。前日だけの「どか食い」は胃腸への負担だけが残り、グリコーゲン貯蔵には間に合いません。
糖質を増やそうとしてパスタにクリームソースをかけたり、揚げ物と組み合わせたりするケースです。
カーボローディング中は、グリコーゲン1gあたり約3gの水分を一緒に貯蔵するため、体重が1〜3kg増えるのは正常な生理現象です。これを見て「太った」と思い糖質を減らすのは逆効果です。
グリコーゲンの貯蔵には十分な水分が必要です。糖質を増やしながら水分摂取が少ないと、グリコーゲン合成の効率が下がります。
グリコーゲンの合成は安静時・睡眠中に最も促進されます。カーボローディング期間中は運動量を落とし(テーパリング)、睡眠を7〜8時間確保することが必須です。
自分の体重・目標レースタイム・胃腸のクセに合わせた個別設計が必要な方は、月額プログラム「THE FITNESS 科学的トレーニング設計書」で体重別・年齢別の詳細スケジュールを設計しています。
SEC07 競技種目・体力レベル別の注意点競技種目・体力レベル別の注意点
| 種目 | カーボローディングの有効性 | 注意点 |
|---|---|---|
| フルマラソン(サブ4〜5) | 非常に有効 | 胃腸トラブル対策を最優先。ジェル補給タイミングをセットで計画する |
| ハーフマラソン(90〜120分) | 限定的 | 過度な糖質増量は不要。前日の食事を意識する程度(通常の1.2〜1.5倍)にとどめる |
| トレイルランニング・ウルトラ | 必須レベルで有効 | レース中の補給戦略(ジェル・固形食・補給所)もセットで設計する |
| 初めてカーボローディングを行う方 | 本番前に一度試す | 本番レースで初めて試すのはリスク大。練習レースで事前に体の反応を確認する |
よくある質問
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SEC08 まとめまとめ:カーボローディングを成功させる3つのポイント
カーボローディングは「大会前に炭水化物を増やす」だけではなく、開始タイミング・食材の選択・脂質・食物繊維のコントロールを組み合わせてはじめて機能する食事戦略です。
- 大会3日前からモディファイド法で開始:前日だけの「どか食い」では間に合わない。体重1kgあたり8〜12gの糖質を3日間継続することでグリコーゲンが最大充填される(Thomas et al., 2016 / PMID:26920240)
- 脂質・食物繊維を減らして胃腸への負担を最小化:いくら糖質を摂っても当日に胃もたれや腹痛が起きては意味がない。前日の食事は特にシンプルに、消化の良い食材だけに絞る(Burke et al., 2011)
- 体重増加を恐れない:1〜3kgの増加はグリコーゲン貯蔵の証拠であり、パフォーマンスに悪影響はない。体重計より当日の体のコンディションを信じる(Hawley & Burke, 1997)
- 水分は1日2〜3L確保:グリコーゲン合成には十分な水分が必要。スポーツドリンクを活用すると糖質補充と水分補給を同時に行える
- 睡眠7〜8時間の確保とテーパリングをセットで:グリコーゲンの合成は安静時・睡眠中に最も促進される
THE FITNESS|調布市のパーソナルジム
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参考文献・科学的根拠
- 1Burke LM, Hawley JA, Wong SH, Jeukendrup AE. “Carbohydrates for training and competition.” J Sports Sci. 2011;29(Suppl 1):S17-27. doi:10.1080/02640414.2011.585473. スポーツ科学・栄養学の権威Burke・Jeukendrupらによるカーボローディングの科学的根拠をまとめたレビュー。8〜12g/kg/日の糖質摂取量、モディファイド法の有効性・グリコーゲン貯蔵量の詳細データを提供。本記事の「体重別糖質量早見表」「モディファイド法の推奨」の根拠として引用。 doi:10.1080/02640414.2011.585473
- 2Thomas DT, Erdman KA, Burke LM. “Position of the Academy of Nutrition and Dietetics, Dietitians of Canada, and the American College of Sports Medicine: Nutrition and Athletic Performance.” J Acad Nutr Diet. 2016 Mar;116(3):501-528. doi:10.1016/j.jand.2015.12.006. 米国栄養士協会・カナダ栄養士協会・米国スポーツ医学会の合同ポジションスタンド。持久系スポーツにおける糖質の役割、カーボローディングの有効性・実施ガイドラインを網羅。本記事の「大会3日前からの開始・糖質摂取量の根拠」として引用。 PMID:26920240
- 3Hawley JA, Burke LM. “Effect of meal frequency and timing on physical performance.” Br J Nutr. 1997 Apr;77(Suppl 1):S91-S103. doi:10.1079/BJN19970107. 食事の頻度・タイミングが運動パフォーマンスに与える影響を総括したレビュー。グリコーゲン合成の時間的側面・カーボローディング期間中の食事分散の根拠として引用。 doi:10.1079/BJN19970107
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