QUICK ANSWER
✅ AGEsの量は食材の種類ではなく、どう加熱したかで決まります
✅ 鶏むね肉は茹でれば1,076、衣をつけて揚げれば9,722(kU/100g・549食品の実測値)
✅ じゃがいもは茹でて17、フライドポテトで1,522と約90倍の差がつきます
✅ 野菜・果物・米は加熱してもほとんど増えません。減らすなら焼く・揚げるを茹でる・蒸すに置き換えるのが先です
90倍
じゃがいもの
茹でと揚げの差
14,700kU
健常成人の
1日平均摂取量
549品
数値の出典となる
測定食品数

「同じ年齢なのに肌のハリが違う」「血管年齢が実年齢より高い」——こうした差の一因として注目されているのが糖化です。糖化は体内でブドウ糖がタンパク質や脂質と結合し、AGEs(終末糖化産物)を生成する反応です。AGEsには体内で作られるもの(内因性)と食べ物から入ってくるもの(外因性)の2種類があり、この記事で数値を扱うのは後者です。この記事では糖化のメカニズムを正確に整理し、食事で対策できることとできないことを科学的根拠をもとに解説します。

WHAT ARE AGEs糖化とAGEsとは何か

糖化が起きるメカニズム

糖化とは、体内の血糖(ブドウ糖)がタンパク質や脂質と結合し、AGEs(Advanced Glycation End products=終末糖化産物)を生成する非酵素的な化学反応です。これは食品を加熱したときに褐色に変化する「メイラード反応」と同じ反応が体内でも起きている——と考えるとイメージしやすいです。血糖値が高い状態が続くほど、この反応は加速します。

AGEsが蓄積すると体に何が起きるか

Vlassara & Uribarri(2014)のレビューによると、AGEsの蓄積は以下と関連することが報告されています(PMID:24292971)。皮膚コラーゲンの架橋形成→弾力低下・くすみ、血管壁の硬化→動脈硬化の促進、骨のタンパク質変性→骨質の低下。AGEsは一度蓄積すると分解されにくく、加齢とともに体内に蓄積していきます。

AGEsは体内で作られるものと食事から摂るものがある

AGEsには内因性(体内での糖化反応で生成)と外因性(食品から摂取)の2種類があります。外因性AGEsは摂取量の約10〜30%が体内に吸収されるとされています。食事から摂取するAGEsだけで老化が決まるわけではありませんが、長期的な蓄積を考えると無視できない量です。

WHAT INCREASES AGEs食品別・調理法別のAGEs一覧

AGEsの量は、食材そのものよりもどう加熱したかで決まります。549食品を測定した研究の実数値を、同じ食材の中で調理法を変えた場合で並べます。単位はkU/100gです。

食品生茹でる・蒸す焼く・グリル揚げる・油で炒める
鶏むね肉(皮なし)7691,058〜1,2105,8289,722
牛肉7072,443(煮込み)7,47910,058
鮭5281,000〜1,2123,3474,334
木綿豆腐788—4,1074,723
卵—90(ポーチ)337(バター)2,749(目玉焼き)
じゃがいも—17218(ロースト)1,522
白米—932(炒ってから炊く)—

数値はUribarri J, et al.(2026年9月28日確認)の実測値。肉・魚は1食90g、いも類・米は100gが原典の基準量です。鮭の燻製は572で、生の528とほとんど変わりません。

一方で、炭水化物が中心の食品は加熱してもほとんど増えません。バナナ9、にんじん10、りんご13(焼きりんごでも45)、トマト23、玉ねぎ36、無脂肪牛乳は100mlあたり1です。AGEsを気にして野菜や果物の加熱を避ける必要はありません。

高温・乾燥調理でAGEsは増える

Goldberg et al.(2004)は250種類の食品のAGEs含量を分析し、同じ食材でも調理法によってAGEs含量が大きく異なることを報告しています(PMID:15281050)。フライ・グリル・オーブン焼きなどの高温・乾燥調理はAGEsが多く生成され、蒸す・茹でる・煮る・低温調理はAGEsの生成が少なくなります。たとえばローストチキンは蒸し鶏の約5〜6倍のAGEsを含みます。

血糖値スパイクが内因性AGEsを加速する

食後に血糖値が急上昇する「血糖値スパイク」が起きると、体内でのAGEs産生が加速します。精製糖質(白米・白パン・砂糖・清涼飲料水)の過剰摂取が主因です。血糖値スパイクを抑えるには低GI食品への置き換えが有効です。

血糖値スパイクを抑える低GI食品の選び方

慢性的な糖質過多・超加工食品

コンビニ食・菓子パン・清涼飲料水の常食は、高温加工由来の外因性AGEs摂取と、糖質過多による内因性AGEs産生の両方を増加させます。Uribarri et al.(2010)の包括的データベースでも、超加工食品にAGEsが高濃度で含まれることが確認されています(PMID:20497781)。

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HEAT & TIME調理法で何倍変わるか

同じ食材の中で、いちばん低い調理法といちばん高い調理法を比べると差がはっきりします。

食品低い調理法高い調理法差
じゃがいも茹でる25分 17フライドポテト 1,522約90倍
卵ポーチ5分 90目玉焼き 2,749約30倍
鶏むね肉ホイル蒸し 1,058衣揚げ20分 9,722約9倍
木綿豆腐生 788ソテー 4,723約6倍
鮭ホイル蒸し 1,000油でグリル 4,334約4倍

研究の結論は「乾いた高温がAGEsを増やす」です。焼く・揚げる・ローストするといった乾熱調理は、未調理の状態に比べてAGEsを10倍から100倍に増やします。逆に、湿熱調理・短い加熱時間・低い温度・レモン汁や酢などの酸性食材を使うと有意に減ることが報告されています。

食事全体の目安も出ています。ニューヨーク周辺の健常成人の平均摂取量は1日14,700±680kUで、焼き肉・ロースト・脂質の多い加工食品が中心の食事では20,000kUを超えると報告されています。上の表の鶏むね肉の衣揚げ1食(90g換算で8,750kU)が、1日の平均の6割に相当します。

調理法を変える(最も効果的)

同じ食材でも高温・乾燥調理→蒸す・茹でる・煮るに変えるだけでAGEs含量を大幅に減らせます。鶏肉はグリルではなく蒸す、魚はフライではなく煮魚にする、野菜は炒めるよりスープにする——調理法の選択は食事でできるAGEs対策の中で最もインパクトが大きい方法です。

抗酸化物質・ポリフェノールの役割

ビタミンC・E、カロテノイド、ポリフェノール(緑茶カテキン・ベリー類のアントシアニン・玉ねぎのケルセチン)がAGEsの産生抑制や排出促進に関与するとされる研究報告があります。ただし「特定の食品を食べれば糖化を防げる」という単純な話ではなく、抗酸化物質を含む食品を日常的にバランスよく摂取することが基本です。

食後血糖値を安定させる食事の順序・組み合わせ

野菜→タンパク質→炭水化物の順で食べることで食後血糖値の上昇が緩やかになり、内因性AGEsの産生を抑えられます。食物繊維を先に摂ることで糖質の吸収速度が低下するためです。

40〜60代が無理なく続けられる糖質調整の考え方 40代の食事管理と代謝の関係

WHAT YOU CAN DO今日から変えられる5つのこと

研究が示している減らし方は5つです。どれも食材を変えずにできます。

① 焼く・揚げるを茹でる・蒸すに置き換える
いちばん効きます。鶏むね肉なら、唐揚げをホイル蒸しに変えるだけで9分の1です。

② 加熱時間を短くする
鶏むね肉のポーチは7分1,101、15分1,076とほぼ同じですが、ローストは45分で6,639まで上がります。長時間の乾熱がいちばん増やします。

③ 温度を下げる
卵のオムレツは、低温+クッキングスプレーで90、低温+バターで507、高温+バターのスクランブルで337。温度と油脂の両方が効きます。

④ レモン汁や酢を使う
酸性の下ごしらえがAGEsの生成を抑えることが報告されています。焼く前に酢やレモンでマリネする、という一手間です。

⑤ 血糖値の急上昇を抑える
ここまでは食べ物に含まれるAGEs(外因性)の話です。体内で作られるAGEs(内因性)は血糖値が高い時間の長さで決まります。食べる順番と食物繊維がここに効きます。

【根拠】体内で作られるAGEs(内因性)は、血糖値が高い時間が長いほど増えます。水溶性食物繊維は腸内で水分を含んでゲル状になり、糖質の吸収を緩やかにすることが知られています。食べる順番を変えるのと同じ方向の対策で、食事だけでは摂りきれない分を補う位置づけです。イヌリンは水溶性食物繊維の一種です。

【デメリット】イヌリンは摂りすぎるとお腹が張ったり緩くなったりすることがあるため、少量から試してください。また、ここで補えるのは体内で作られるAGEsの側だけです。食べ物に含まれるAGEsは、上で見た調理法の選び方で減らします。
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WHY 40–60s MATTER40〜60代が特に意識すべき理由

年齢とともにAGEs排出能力が低下する

AGEsの排出には腎機能と体内の抗酸化能力が関与しますが、どちらも加齢とともに低下します。若い頃と同じ食事をしていても、40〜60代ではAGEsの蓄積速度が速くなるため、食事の質・調理法への意識が若年者以上に重要です。

睡眠・ストレスとAGEs産生の関係

睡眠不足や慢性ストレスはコルチゾール上昇→血糖値の不安定化→内因性AGEs産生の増加という経路で糖化を加速させます。食事だけでなく、睡眠の質とストレス管理もAGEs対策の一部です。

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よくある質問

糖化は完全に防ぐことができますか?
食事を摂る限り完全にゼロにはできません。目標は「蓄積速度を緩やかにする」ことです。血糖値スパイクを抑える食事パターン、調理法の工夫、抗酸化物質の摂取が有効です。
サプリメントでAGEsを減らせますか?
一部の成分(ビタミンB1誘導体やカルノシン等)がAGEs産生抑制に関与するとする報告はありますが、確定的なエビデンスは限定的です。食事パターンと調理法の改善が優先であり、サプリメントは補助的な位置づけです。
糖化が進んでいるかどうか、自分でわかりますか?
医療機関で皮膚AGEs蛍光測定(AGEリーダー等)を受けることで推定できます。肌のくすみ・黄ばみ・弾力低下は間接的なサインですが、紫外線や加齢とも重なるため糖化だけが原因とは断定できません。気になる場合は専門クリニックで相談してください。
AGEsがいちばん多い食べ物は何ですか?
測定された549食品のうち、高い側に来るのは動物性で脂質とタンパク質が多く、乾熱で加熱したものです。衣をつけて揚げた鶏むね肉が9,722、オリーブ油で焼いた牛ステーキが10,058(kU/100g)でした。食材の種類より調理法で決まります。
電子レンジはAGEsを増やしますか?
乾熱調理より少なく済みます。鶏むね肉は電子レンジ5分で1,524、牛ステーキは6分で2,687で、どちらもグリルやフライパンの半分以下でした。ただし茹でる・蒸すよりは高くなります。
サプリメントでAGEsは減らせますか?
食事由来のAGEsを減らす方法として研究で確認されているのは、湿熱調理・短い加熱時間・低い温度・酸性食材の使用です。すでに体内に蓄積したAGEsを分解する食品やサプリメントは確認されていません。入ってくる量を減らすほうが現実的です。
この記事は、筋トレの本場ロサンゼルスで15年の指導経験を持ち、日本での指導を合わせて18年・NABBA 2025 GPF優勝・LA Championship 2位・NESTA-PFT/SFT取得のトレーナーが、調布市のパーソナルジムTHE FITNESSで執筆しています。

まとめ

AGEsの量は食材ではなく調理法で決まります。同じ鶏むね肉でも茹でれば1,076、衣をつけて揚げれば9,722。じゃがいもは茹でて17、フライドポテトで1,522と約90倍の差がつきます。野菜・果物・米は加熱してもほとんど増えません。

やることは5つです。焼く・揚げるを茹でる・蒸すに置き換える。加熱時間を短くする。温度を下げる。レモン汁や酢を使う。食べる順番で血糖値の急上昇を抑える。食材を買い替える必要はありません。

ただし、すでに蓄積したAGEsを食事で分解することはできません。できるのは、これから入ってくる量と体内で作られる量を減らすことだけです。40〜60代で排出能力が落ちてくるからこそ、入口を絞る意味があります。

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参考文献

  1. 1Goldberg T, Cai W, Peppa M, et al. “Advanced glycoxidation end products in commonly consumed foods.” J Am Diet Assoc. 2004 Aug;104(8):1287-1291. マウントサイナイ医科大学。250種類の食品のAGEs含量(CMLマーカー)を分析し、調理法(フライ・グリル vs 蒸す・茹でる)によるAGEs含量の差を定量化。食品中AGEsの基本データベースとして参照。PMID:15281050
  2. 2Uribarri J, Woodruff S, Goodman S, et al. “Advanced glycation end products in foods and a practical guide to their reduction in the diet.” J Am Diet Assoc. 2010 Jun;110(6):911-16.e12. マウントサイナイ医科大学。549種類の食品のAGEs含量を分析した包括的データベース。調理法・温度・水分量がAGEs生成に与える影響を実践的に整理。食事からのAGEs削減ガイドとして参照。PMID:20497781
  3. 3Vlassara H, Uribarri J. “Advanced glycation end products (AGE) and diabetes: cause, effect, or both?” Curr Diab Rep. 2014 Jan;14(1):453. マウントサイナイ医科大学。AGEsの蓄積が糖尿病合併症・血管硬化・臓器障害に関与するメカニズムと、食事介入によるAGEs削減の有効性を包括的にレビュー。AGEsと老化・疾患の関連の根拠として参照。PMID:24292971