「プロテインを飲んでいるが腎臓は大丈夫か」「肝臓の数値が上がったのはプロテインのせい?」——THE FITNESSのカウンセリングでも頻繁に聞かれる疑問です。この記事では、最新の研究データをもとに「健康な人への影響」「注意すべき人」「血液検査の正しい見方」を整理します。

01 CONCLUSION FIRST結論——プロテインは健康な人の腎臓・肝臓に悪影響を与えない

✅ 結論

腎機能・肝機能が正常な健康な人が、適切な量(体重×1.6〜2.2g/日)のプロテインを摂取しても、腎臓・肝臓への悪影響は研究データで示されていません。

複数の研究が示す「健康な人への影響」

Devries et al.(2018)は28本のRCT・1,358名のデータを統合したメタ分析で、高タンパク質摂取(≥1.5g/kg/日)がCKD(慢性腎臓病)のない健康な成人のGFR(糸球体濾過量)の変化に有意な悪影響を与えないことを示しました(PMID:30383278)。また高タンパク摂取により一部の試験でGFR値が上昇しますが、これは「過剰濾過(糸球体過剰濾過)」と呼ばれる適応反応であり、健康な腎臓では正常範囲内の一時的な変化です。病的な腎機能低下を意味するものではありません。

🔬 Devries et al.(2018)より

28本のRCT・1,358名の統合解析。高タンパク質摂取(≥1.5g/kg/日)はCKDのない健康な成人のGFR変化に有意差なし(SMD: 0.11; 95% CI: −0.05, 0.27; P = 0.16)。「高タンパク質摂取は健康な成人の腎機能に悪影響を与えない」と結論。筋肉量維持に体重×1.6g/日以上のタンパク質が推奨される根拠(PMID:35187864)とも整合する。 PMID:30383278

腎臓への影響メカニズム——なぜ心配されるのか

タンパク質はアミノ酸に分解・代謝される際に尿素・クレアチニン・尿酸などの含窒素老廃物を生成します。これらを排泄するのが腎臓の役割のひとつで、タンパク質摂取量が増えれば腎臓の処理量も増加します。この増加が「腎臓への負担」と直感的に解釈され、「プロテイン=腎臓に悪い」という誤解が広まりました。ただし健康な腎臓には大きな予備能力(リザーブ機能)があり、通常のタンパク質摂取範囲内(体重×2.0g/日以下)では余裕を持って対応できます。既にCKDがある場合はこの予備能力が低下しているため話が異なります。

肝臓への影響メカニズム——ALT・ASTの数値と実態

タンパク質代謝において肝臓はアンモニア(NH₃)を尿素に変換する「尿素サイクル」を担います。過剰な動物性タンパク質(体重×2.5g/日以上を長期継続)ではALT・ASTが一時的に上昇することが一部の人で報告されています。ただしこれは肝細胞への器質的なダメージとは異なり、また筋トレ後に筋肉由来のASTが上昇する現象(筋酵素漏出)と肝臓由来のALT上昇とは区別が必要です。肝機能が正常な人では適切な摂取量の範囲内でプロテインによる肝障害は起きないとされています。

02 4 MISCONCEPTIONSプロテインが腎臓・肝臓に「悪い」と言われる4つの誤解

誤解①
「プロテインは健康な人でも腎臓を壊す」
この誤解の起源は主に「慢性腎臓病(CKD)の患者にはタンパク質制限が必要」という医学的な事実が、健康な人にも当てはまると拡大解釈されたことにあります。CKD患者と健康な人では腎臓の予備能力が根本的に異なります。
正しくは:健康な腎臓を持つ人が適切な量のプロテインを摂取しても腎機能を悪化させることは研究で示されていません(Devries et al., 2018, PMID:30383278)。「腎臓を壊す」という表現は健康な人には適用されません。
誤解②
「動物性プロテインは危険、植物性なら安全」
動物性タンパク質は硫黄含有アミノ酸が多く体内での酸負荷が大きいため、腎機能低下がある人では植物性への切り替えが推奨される場合があります。ただしこれは腎機能が低下している人向けの話であり、健康な腎臓を持つ人への差は臨床的に大きな意味を持ちません
正しくは:健康な人では動物性・植物性いずれも適切な量であれば安全です。ただし動植物を組み合わせて摂取することがよりバランスが良い選択です。ソイプロテインの詳細は関連記事も参照してください。
ソイプロテインの効果とホエイとの違い
誤解③
「プロテインを飲むと肝臓の数値(ALT)が上がる」
ALT(GPT)は肝細胞から漏出する酵素で肝障害の指標です。ASTは肝臓だけでなく筋肉・赤血球にも含まれ、激しい筋トレ後に筋肉由来で上昇することが多いのです。「プロテインを飲んで筋トレをしたらASTが上がった」という現象の多くは筋肉由来であり、肝障害ではありません。
正しくは:肝機能を正確に評価するにはALT(主に肝臓由来)とAST(肝臓+筋肉由来)を区別する必要があります。ASTのみ高値でALTが正常の場合は筋肉由来の可能性が高く、プロテイン・筋トレを直ちに中止する必要はありません。両方高値または持続する場合は医師に相談してください。
誤解④
「プロテインは薬のような化学物質」
プロテインパウダーに対して「化学物質・添加物が怖い」という不安を持つ方は少なくありません。ただし市販のホエイプロテインの主成分は牛乳から精製された乳タンパクであり、ソイプロテインは大豆タンパクです。基本的には食品由来の自然なタンパク質を濃縮したものです。
正しくは:プロテインパウダーは主に食品由来タンパク質の濃縮物です。人工甘味料・乳化剤などの添加物は製品によって異なります。添加物が気になる方はWPC(ホエイ濃縮物)・WPI(分離精製)・無添加タイプを選ぶとよいでしょう。

03 WHEN TO CONSULT A DOCTOR注意が必要な人——このケースは医師に相談を

⚠️
腎機能低下・慢性腎臓病(CKD)がある場合
CKD(eGFR<60またはタンパク尿あり)と診断されている場合、タンパク質制限(0.6〜0.8g/kg/日)が医師から指示される場合があります。この場合はプロテインパウダーの使用について必ず主治医・管理栄養士に相談してください。CKD患者への高タンパク食は腎機能低下を加速させるリスクがあります。
⚠️
肝機能障害・脂肪肝が指摘されている場合
健康診断でALT・ASTの高値・脂肪肝・肝炎を指摘されている場合は、プロテイン摂取量を増やす前に肝臓専門医または内科を受診してください。重症の肝機能障害では尿素サイクルの処理能力が低下するため、過剰なタンパク質摂取が血中アンモニア上昇につながるリスクがあります。
⚠️
血液検査でクレアチニン・BUNが高い場合
クレアチニン(男性:1.0mg/dL以上、女性:0.8mg/dL以上が要注意の目安)やBUN(血中尿素窒素)が高値の場合は腎機能低下の可能性があります。ただしクレアチニン値は肉食・筋肉量の多さでも上昇します。eGFR(推算糸球体濾過量)と合わせて評価し、主治医に相談してください。
ℹ️
医療機関で確認すべきタイミングの目安
①健康診断でeGFR・クレアチニン・尿タンパクの異常を指摘された②家族に腎臓病・肝疾患の既往歴がある③高血圧・糖尿病を長期放置している(腎症・肝症のリスク因子)④水分摂取が少ない状態で高タンパク食を長期継続している——これらに該当する場合は内科・腎臓専門医を受診し、腎機能・肝機能を確認した上でプロテイン量を調整してください。
腎機能を高める食事と食材——腎臓を守る7つの習慣

04 SAFE USAGE安全に飲むための3つのポイント

⚖️
① 適切な摂取量を守る
筋トレ実践者の目安は体重×1.6〜2.2g/日(Nunes et al., 2022)。一般的な安全上限は体重×2.0g/日とされており、これを大幅に超えた長期継続は不要です。食事からのタンパク質を基本にし、プロテインパウダーは不足分を補う「補助食品」として使用してください。
💧
② 水分補給を怠らない
タンパク質代謝で生成される老廃物(尿素・クレアチニン)の排泄には十分な水分が必要です。プロテイン摂取量×30〜35mlを追加で意識し、1日最低1.5〜2Lの水分確保を。水分不足は尿中老廃物濃度を高め腎臓への負担を増やします。
🥗
③ 食事基本・補助としての位置づけ
鶏胸肉・魚・卵・豆腐・納豆などの自然食品からのタンパク質を1日の基本にし、足りない分をプロテインパウダーで補う設計が最も安全で栄養バランスも良好です。食品には他のビタミン・ミネラル・食物繊維も含まれ、単独摂取では補えない要素があります。
プロテインの適切な摂取量|体重・目的・年代別の目安
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05 BLOOD TESTSプロテインと血液検査の関係——数値が動く場合の見方

クレアチニン・BUN・ALTが変動する理由

プロテインを摂取し始めてから血液検査の数値が動くことがありますが、その多くは臓器障害ではなく生理的な適応反応です。それぞれの意味を正しく理解することが重要です。

検査項目プロテイン・筋トレで変動する理由問題のない変動要注意のサイン
クレアチニン筋肉量増加により筋肉内のクレアチンリン酸代謝産物(クレアチニン)の産生量が増加。肉・プロテイン摂取直後も一時上昇筋トレ歴に伴う緩やかな上昇・測定前後の高タンパク食による一時上昇継続的な上昇・eGFR低下を伴う・尿タンパクが出現
BUN(尿素窒素)タンパク質代謝で産生された尿素。摂取量が多い日ほど上昇しやすい。水分摂取量不足でも濃縮されて上昇高タンパク食後の一時上昇(通常2〜3日で正常化)継続的な高値・クレアチニンとの比(BUN/Cr)が高い場合
AST(GOT)肝臓だけでなく筋肉にも存在。高強度筋トレ後24〜72時間は筋肉由来で上昇するのが正常筋トレ翌日〜2日後の一時的上昇(特にALTが正常な場合)長期継続する高値・ALTも同時高値・黄疸・倦怠感を伴う
ALT(GPT)主に肝細胞に存在。極端な過剰摂取(体重×2.5g以上長期)で一部の人に上昇が見られる場合がある一時的な軽度上昇(正常上限の1.5倍以内)持続する高値・3倍以上の上昇・ASTも同時高値
eGFR高タンパク摂取→GFR一時上昇(過剰濾過)。これは適応反応であり必ずしも腎障害ではない高タンパク食による軽度のGFR上昇(正常範囲内)eGFR<60(CKD疑い)・進行性の低下・蛋白尿の出現

筋トレ後の一時的な数値上昇と病的な上昇の違い

最も重要な区別は「一時的な上昇か・継続する上昇か」「複数の指標が同時に異常になっているか」です。筋トレ後のAST上昇は48〜72時間で自然に正常化します。一方、数週間以上継続するALT・AST高値や、eGFRの進行性低下・タンパク尿の出現は器質的な問題の可能性があり医療機関の受診が必要です。

健康診断の前後に知っておくべきこと

健康診断の前日〜当日は、プロテインを含む高タンパク食・激しい筋トレを避けることを推奨します。理由:①前日の高タンパク食でBUN・クレアチニンが一時上昇し数値が悪く見える②前日・当日の筋トレでAST・CKが大幅に上昇し「肝臓異常」と誤解される場合がある。診断の3〜4日前から通常の食事・軽度の運動に切り替えることで、より正確な基準値での評価が可能です。

プロテインと健康診断数値の
正しい見方をお伝えします

THE FITNESSでは健康診断数値・体質・年齢を踏まえたプロテイン摂取設計と食事プログラムを個別に提案しています。「腎臓・肝臓が心配でプロテインを始めるか迷っている」という方もお気軽にご相談ください。調布市・府中市・狛江市(国領駅徒歩8分)。オンライン対応も可。

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よくある質問(FAQ)

毎日プロテインを飲み続けても大丈夫ですか?
腎機能・肝機能が正常な方であれば、適切な摂取量(体重×1.6〜2.2g/日)の範囲内で毎日プロテインを摂取しても問題ありません。Devries et al.(2018)の28試験のメタ分析では高タンパク質摂取がCKDのない成人のGFRに有意な悪影響を与えないことが示されています(PMID:30383278)。極端に多い量(体重×2.5g/日以上の長期継続)や既に腎機能・肝機能に問題がある場合は医師に相談してください。
プロテインを飲んで尿が泡立つのは腎臓が悪いから?
必ずしもそうではありません。タンパク質摂取量が増えると尿中の老廃物(尿素・アミノ酸代謝産物)が増加し、尿の表面張力が低下して泡立ちやすくなる場合があります。これは生理的な反応で腎臓の障害を意味するものではありません。ただし泡立ちが数分以上持続する場合や繰り返し起きる場合は蛋白尿の可能性があるため、尿検査を受けることを推奨します。
高齢者がプロテインを飲むリスクはありますか?
腎機能・肝機能が正常な高齢者では一般成人と大きく変わりません。むしろサルコペニア予防のために体重×1.2〜1.6g/日のタンパク質確保が推奨されます。ただし加齢に伴いeGFRが緩やかに低下していることが多いため、70代以上の方は定期的な腎機能検査を受け数値に応じて摂取量を調整することを推奨します。
植物性プロテインのほうが腎臓に優しいですか?
健康な腎臓の方では動植物どちらも安全ですが、植物性(大豆・えんどう豆由来等)は体内の酸負荷が穏やかなため腎機能低下気味の方には相対的に負担が少ない可能性があります。健康な方では組み合わせることが最善です。ソイプロテインの効果とホエイとの違い

まとめ——「プロテイン=危険」は誤解、大切なのは自分の健康状態を把握すること

「プロテインは腎臓・肝臓に悪い」という不安は根強いですが、現在の研究データは一貫して「腎機能・肝機能が正常な健康な人が適切な量を摂る分には問題ない」ことを示しています。重要なのは自分が「健康な人」かどうかを定期的に確認することです。

  • 健康な成人が体重×1.6〜2.2g/日の範囲内で摂取しても腎機能・肝機能への悪影響なし(Devries et al., 2018)
  • 「プロテイン=腎臓を壊す」はCKD患者向けの情報が拡大解釈された誤解
  • ALT・AST・クレアチニンの変動は多くの場合、筋肉由来または生理的適応反応
  • 注意が必要:CKD診断・肝機能障害・クレアチニン高値・糖尿病・高血圧の長期放置
  • 安全3原則:①適切な摂取量(体重×2.0g/日以下)②水分補給(1.5〜2L/日)③食事基本・補助として活用
  • 健診前3〜4日は高タンパク食と激しい筋トレを控えることで正確な数値評価が可能
植物性・動物性脂質の違いと体への影響

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関連記事

参考文献・科学的根拠

  1. 1Devries MC, Sithamparapillai A, Brimble KS, Banfield L, Morton RW, Phillips SM. “Changes in Kidney Function Do Not Differ between Healthy Adults Consuming Higher- Compared with Lower- or Normal-Protein Diets: A Systematic Review and Meta-Analysis.” J Nutr. 2018 Nov 1;148(11):1760-1775. doi:10.1093/jn/nxy197. 28本のRCT・1,358名の統合解析。高タンパク質摂取(≥1.5g/kg/日)がCKDのない健康な成人のGFR変化に有意な悪影響を与えないことを示した最重要メタ分析。本記事「健康な人への影響」の主要根拠として参照。 PMID:30383278
  2. 2Nunes EA, Colenso-Semple L, McKellar SR, et al. “Systematic review and meta-analysis of protein intake to support muscle mass and function in healthy adults.” J Cachexia Sarcopenia Muscle. 2022 Apr;13(2):795-810. doi:10.1002/jcsm.12922. 74件のRCTのSR・メタ分析。体重1kgあたり1.6g以上のタンパク質摂取が筋肉量・筋力維持に有効。健康な成人における推奨摂取量の根拠として参照。 PMID:35187864
  3. 3Kerksick CM, Arent S, Schoenfeld BJ, et al. “International society of sports nutrition position stand: nutrient timing.” J Int Soc Sports Nutr. 2017 Aug 29;14:33. doi:10.1186/s12970-017-0189-4. ISSNニュートリエントタイミングポジションスタンド。タンパク質の総摂取量・タイミング・種類に関する国際スポーツ栄養学会の包括的立場表明。安全な摂取設計の参考として引用。 PMID:28919842
  4. 4Antonio J, Ellerbroek A, Silver T, Vargas L, Tamayo A, Buehn R, Peacock CA. “A High Protein Diet Has No Harmful Effects: A One-Year Crossover Study in Resistance-Trained Males.” J Nutr Metab. 2016;2016:9104792. doi:10.1155/2016/9104792. 筋トレ経験者14名のクロスオーバーRCT。高タンパク食(体重×2.51〜3.32g/日)を1年間継続した結果、血中脂質・ALT・AST・BUN・eGFR(推算GFR)のいずれにも有意な悪影響が認められなかった。「長期の高タンパク食でも肝臓・腎臓に悪影響がない」という本記事の主要メッセージを1年間の縦断データで裏付ける根拠として参照。 PMID:27807480
  5. 5Naghshi S, Sadeghi O, Willett WC, Esmaillzadeh A. “Dietary intake of total, animal, and plant proteins and risk of all cause, cardiovascular, and cancer mortality: systematic review and dose-response meta-analysis of prospective cohort studies.” BMJ. 2020 Jul 22;370:m2412. doi:10.1136/bmj.m2412. 32コホート研究・715,128名(追跡期間3.5〜32年)のSR・メタ分析。植物性タンパク質の高摂取が全死亡リスクの低下と関連(RR=0.82, 95%CI:0.71〜0.94)。動物性タンパク質と植物性タンパク質の健康アウトカムへの違いを示した最大規模のメタ分析。「動物性vs植物性プロテイン」の誤解②解説の科学的根拠として参照。 PMID:32699048