目次
ブリージングスクワットとは?
高回数×呼吸で筋肉を限界まで追い込む
科学的メソッド
「ブリージングスクワットって何?普通のスクワットと何が違うの?」——THE FITNESSでよく聞かれる質問です。ブリージングスクワットは、呼吸法を意識した高回数スクワットで筋持久力・体幹安定・代謝促進を同時に鍛える手法です。「とにかく回数をこなす」ではなく「呼吸のリズムと体幹の安定を保ちながら限界まで追い込む」という点が、通常のスクワットとの本質的な違いです。
ブリージングスクワットを
正しいフォームで習得する個別指導
THE FITNESSでは調布市・府中・狛江からアクセスできるパーソナルジムとして、18年の指導経験をもとにフォーム・呼吸法の個別指導を行っています。
無料カウンセリングを予約する →01 DEFINITIONブリージングスクワットとは?20レップスクワットとの関係
ブリージングスクワットの定義と歴史的背景
ブリージングスクワット(Breathing Squat)は、各レップ間で意識的に深い呼吸を行いながら高回数(通常10〜20回以上)のスクワットを1セットで連続して実施するトレーニング手法です。1940〜60年代のボディビル黎明期に「20レップスクワット(スーパースクワット)」として普及しました。当時のパワーリフターやボディビルダーが最大筋肥大と体力向上のために、通常の10RM(10回がぎりぎりの重量)で20回行うという過酷な手法として知られていました。現代では呼吸法・フォーム・段階的な負荷増加という視点でより科学的に再評価されています。
20レップスクワット(ハイレップ)とは何か
20レップスクワット(20 rep squat / breathing squat)とは、通常10回が限界の重量(10RM)を20回行うプロトコルで、10〜15回目以降はセット間の呼吸法(深呼吸3〜5回)を各レップ間に挟みながら達成します。通常10RMで20回は不可能に見えますが、レップ間の深い横隔膜呼吸によって回復と体幹の再安定化が起き、継続が可能になります。Schoenfeld et al.(2017)のSR・メタ分析では、低負荷高回数トレーニングが高負荷低回数と同等の筋肥大効果を持つことが示されており、この科学的知見がブリージングスクワットの有効性を支持しています。
02 SCIENCEなぜ呼吸がスクワットの効果を変えるのか?科学的メカニズム
腹腔内圧(IAP)と体幹安定のメカニズム
スクワット中に体幹を安定させる主要メカニズムが腹腔内圧(IAP:Intra-abdominal Pressure)です。横隔膜・腹横筋・骨盤底筋が協調して腹腔内を圧縮することで脊椎を安定させます。ブリージングスクワットでは各レップ間に横隔膜呼吸を行うことで①横隔膜を十分に下降させてIAPを再設定する②腹横筋・骨盤底筋のインナーユニットを再活性化する③次のレップに向けて体幹の安定基盤を整える、という3つの効果があります。呼吸を止めたまま高回数を続けると体幹の安定が崩れ、腰椎への過負荷リスクが高まります。
代謝ストレスと高回数トレーニングの筋肥大効果
Schoenfeld(2010)の筋肥大メカニズムのレビューでは、筋肥大を引き起こす3要因として①メカニカルテンション②代謝ストレス③筋損傷が挙げられています。高回数スクワットは特に代謝ストレス(乳酸・水素イオン・リン酸の蓄積)を最大化し、成長ホルモン・IGF-1の急性的な分泌を促進するという点で優れています。ブリージングスクワットの各レップ間呼吸はこの代謝ストレスを「限界手前で維持」するための手法であり、単純に呼吸を止めて高回数を行うより効率的に代謝ストレスをかけられます。
横隔膜呼吸が神経系・集中力に与える影響
Ma et al.(2017)のRCTでは、横隔膜呼吸(深い腹式呼吸)の実践が注意集中力の向上・副交感神経の活性化・ストレス反応の低減と関連することが示されています。高回数スクワット中の精神的プレッシャー・乳酸蓄積による不快感を呼吸で管理することで、限界に近づいてもトレーニングを継続する能力(ペイントレランス)が向上します。これは単なる体力的な効果だけでなく、神経系のコントロール能力の向上という側面があります。
Schoenfeld et al.(2017)のSR・メタ分析では、低負荷高回数トレーニング(30〜80%1RM・セットを限界まで行う)が高負荷低回数と同等の筋肥大効果を持つことが示されています(PMID:28834797)。Schoenfeld(2010)では代謝ストレスが筋肥大の主要因のひとつであり成長ホルモン・IGF-1の分泌促進と関連することが整理されています(PMID:20847704)。Ma et al.(2017)のRCTでは横隔膜呼吸が注意集中力向上と関連することが確認されています(PMID:28626434)。
03 FORM & BREATHING正しいブリージングスクワットのフォームと呼吸パターン
基本の呼吸タイミング(4フェーズ別)
正しいフォーム8つのチェックポイント
呼吸を止めてはいけない理由とバルサルバ法との使い分け
バルサルバ法(声門を閉じて腹腔内圧を最大化する手法)はパワーリフティングの極限重量時には有効ですが、高回数・高心拍数のブリージングスクワット中に完全なバルサルバ法を用いると血圧急上昇・頭部への圧力増大・迷走神経失神のリスクがあります。ブリージングスクワットでは「軽いブレーシング(体幹を固める程度の腹圧)」と「頂点での完全なリラックス呼吸」を交互に行うことが安全で効果的です。スクワットの可動域改善についてはスクワットに必要な可動域・モビリティの改善方法はこちらも参照してください。
呼吸パターンが乱れる原因と習得のための練習法
「ブリージングスクワットを試してみたが、呼吸と動作がバラバラになる」という方に多い原因は「呼吸が浅い(胸式呼吸になっている)」「頂点での深呼吸を短縮してしまう」という2点です。呼吸パターンを習得するための最も効果的な練習法は「自重で極端にゆっくり行う(降下5秒・頂点深呼吸5回・上昇3秒)」という超スローテンポからスタートすることです。重量をかけた状態では呼吸が後回しになりがちですが、自重でのスロートレーニングで呼吸と動作のリズムを体に染み込ませることができます。THE FITNESSでは18年の指導経験から、ブリージングスクワットの初期習得において「呼吸の意識を動作の主役に置く」という考え方が最も習得を速めることを確認しています。
04 LOAD SETTING重量・回数・セット数の設定方法
| 目的 | 推奨重量 | 回数 | セット数 | セット間休息 |
|---|---|---|---|---|
| 筋持久力向上 | 50〜60%1RM | 20〜30回 | 2〜3セット | 2〜3分 |
| 筋肥大(ブリージング入門) | 65〜75%1RM(目安:10RM) | 15〜20回 | 1〜2セット | 3〜5分 |
| 筋肥大(上級・20レップ) | 75〜80%1RM(10RMで実施) | 20回 | 1セット | 十分な休息 |
| 体力・代謝向上 | 40〜50%1RM(自重含む) | 25〜50回 | 2〜3セット | 2〜3分 |
ハイレップ(20レップ)の重量の決め方
「10RMで20回」という設定が20レップスクワットの基本ですが、初心者はまず「15RMで20回(頂点での深呼吸あり)」から始めることを推奨します。10〜15回目で呼吸が浅くなり始めたら頂点での深呼吸を増やす(3回→5回→7回)ことで20回を達成できます。毎週1〜2kgずつ重量を増やすプログレッシブオーバーロードを続けることが長期的な効果につながります。セット間の休息は3〜5分確保してください。次のセットまで呼吸が完全に整っていることが最重要条件です。
セット間の休息時間と呼吸の整え方
ブリージングスクワットのセット間休息は最低3〜5分確保することを推奨します。通常の筋力トレーニングよりも長い休息が必要な理由は、高回数によって乳酸・水素イオンが大量蓄積し、これを代謝・排出するための時間が長くかかるためです。セット間の休息中に以下の呼吸プロトコルを実践することで、次のセットの質が維持されます。
①セット終了直後の1〜2分:口を開けて自然な速い呼吸で酸素を補給する(無理に深呼吸しない)。②2〜4分目:鼻から吸って口から細く吐く横隔膜呼吸に切り替え、副交感神経を活性化して心拍数を下げる。③次のセット30秒前:深呼吸3回で横隔膜・骨盤底筋のインナーユニットを再活性化する。呼吸が完全に整っていない状態で次のセットを始めることは、フォーム崩壊・過度な血圧上昇の原因になるため避けてください。特に20レップスクワット(本番1セット)の場合は前後のウォームアップ・クールダウンに十分な時間を取り、本番セットまで10〜15分のウォームアップを必ず行ってください。呼吸×パフォーマンスのより深い理解についてはブレスワーク・パフォーマンス向上ガイドはこちらも参照してください。
05 PROGRAM段階別トレーニングプログラム(3フェーズ)
06 SAFETYブリージングスクワットを安全に行うための注意点
体のサイン別の対処と医療機関への相談基準
ブリージングスクワットを正しいフォームで
THE FITNESSで個別指導
THE FITNESSでは18年の指導経験をもとに、ブリージングスクワットのフォーム習得から段階的なプログラム設計まで個別に対応しています。「呼吸とフォームを正しく習得したい」「怪我なく限界まで追い込みたい」という方もお気軽にご相談ください。調布市・府中市・狛江市(国領駅徒歩8分)。
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まとめ|呼吸×高回数の組み合わせで筋肉への刺激を最大化する
ブリージングスクワットは「ただ高回数やればいい」ではなく、「呼吸リズムとIAP(腹腔内圧)管理によって体幹の安定を保ちながら代謝ストレスを最大化する」という科学的根拠のあるメソッドです。
今日から始めるなら「自重スクワット×20〜25回・各レップ頂点で深呼吸3〜5回」というシンプルなプロトコルからスタートしてください。呼吸タイミングが習得できたらダンベル→バーベルと段階的に負荷を上げていきます。スクワット・四股・ランジの効果比較についてはスクワット・四股・ランジの効果比較はこちらも参照してください。
- 低負荷高回数トレーニングは高負荷低回数と同等の筋肥大効果を持つ(Schoenfeld et al., 2017)
- 代謝ストレス(乳酸等の蓄積)は筋肥大の主要因のひとつであり成長ホルモン分泌促進と関連する(Schoenfeld, 2010)
- 横隔膜呼吸の実践は注意集中力の向上・副交感神経活性化と関連する(Ma et al., 2017)
- 各レップ間の深呼吸(ブリージング)でIAP・体幹安定・酸素供給をリセットすることで高回数が可能になる
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関連記事
参考文献・科学的根拠
- 1Schoenfeld BJ, Grgic J, Ogborn D, Krieger JW. “Strength and Hypertrophy Adaptations Between Low- vs. High-Load Resistance Training: A Systematic Review and Meta-analysis.” J Strength Cond Res. 2017 Dec;31(12):3508-3523. doi:10.1519/JSC.0000000000002200. 低負荷高回数(30〜80%1RM)と高負荷低回数の筋肥大・筋力適応を比較したSR・メタ分析。セットを限界まで行う条件下で両者が同等の筋肥大効果を持つことを示した。ブリージングスクワット(高回数)の筋肥大有効性の科学的根拠として参照。 PMID:28834797
- 2Schoenfeld BJ. “The mechanisms of muscle hypertrophy and their application to resistance training.” J Strength Cond Res. 2010 Oct;24(10):2857-72. doi:10.1519/JSC.0b013e3181e840f3. 筋肥大の3主要メカニズム(メカニカルテンション・代謝ストレス・筋損傷)を整理したレビュー。代謝ストレス(乳酸・水素イオン・リン酸の蓄積)が成長ホルモン・IGF-1の分泌と関連することを示した。高回数スクワットの代謝的効果の根拠として参照。 PMID:20847704
- 3Ma X, Yue ZQ, Gong ZQ, et al. “The Effect of Diaphragmatic Breathing on Attention, Negative Affect and Stress in Healthy Adults.” Front Psychol. 2017 Jun 6;8:874. doi:10.3389/fpsyg.2017.00874. 横隔膜呼吸(腹式呼吸)の実践が注意集中力の向上・副交感神経の活性化・ストレス反応の低減と関連することを示したRCT。ブリージングスクワット中の呼吸が神経系コントロールに与える効果の根拠として参照。 PMID:28626434
- 4Baz-Valle E, Fontes-Villalba M, Santos-Concejero J. “Total Number of Sets as a Training Volume Quantification Method for Muscle Hypertrophy: A Systematic Review.” J Strength Cond Res. 2021 Mar 1;35(3):870-878. doi:10.1519/JSC.0000000000002776. 総セット数が筋肥大の適切なボリューム定量指標であることを整理したSR。ブリージングスクワットのセット数・ボリューム設計の根拠として参照。 PMID:30063555
- 5Laborde S, Allen MS, Borges U, Dosseville F, Hosang TJ, Iskra M, Mosley E, Salvotti C, Spolverato L, Zammit N, Javelle F. “Effects of voluntary slow breathing on heart rate and heart rate variability: A systematic review and a meta-analysis.” Neurosci Biobehav Rev. 2022 Jul;138:104711. doi:10.1016/j.neubiorev.2022.104711. 意識的なスロー呼吸が心拍数低下・心拍変動(HRV)改善と関連することを確認したSR&メタ分析。ブリージングスクワットの頂点での深呼吸がセット間の心拍回復を促進するメカニズムの根拠として参照。 PMID:35623448
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