健康になるために知っておくべき!身体によい脂質と悪い脂質

健康になるためには知っておくべき!身体によい脂質と悪い脂質

脂質は糖質・たんぱく質と並び、三⼤栄養素の1つ。当たり前のことかもしれませんが、生きる上では必要不可欠の栄養素です。

にもかかわらず、世間一般の脂質のイメージはどちらかというとあまりよいイメージをお持ちではない人が多いのかもしれません。

・摂りすぎたら太ってしまう(1g=9kcal)
・コレステロール値が⾼くなると、⽣活習慣病になってしまうのでは?
・摂りすぎたら⾎液がドロドロになる

このように、脂質は健康やダイエットの敵だからあまり摂らないほうがよいと思っていませんか?低脂肪や低カロリーの商品が数多く流通しているのも一つの原因かもしれません。

確かにこれらのイメージも決して間違いではないのではないでしょうが、だからといって脂質を敵視するのは間違っていると僕は考えています。

今回の投稿では、脂質には「身体によい脂質」と「身体に悪い脂質」があることをお伝えしていきます。この投稿を最後まで読んでいただくことで積極的に摂取すべき脂質や摂るのを控えたほうがよい脂質を理解することが可能です

目次

身体によい脂質・身体に悪い脂質とは?

身体によい脂質・身体に悪い脂質とはなんなのでしょうか?この話を深掘りしていく前に「脂質とは何か?」ということを簡単にまとめてお伝えいたします。

脂質とは?

脂質はグリセリン(グリセロール)と脂肪酸からなるもので、これをトリグリセリドまたは中性脂肪といいます。動物性油脂(お肉やバターなど)と植物性油脂(サラダ油やオリーブオイルなど)はどちらもトリグリセリドです。

脂質の役割

次に脂質の役割についてお伝えしていきます。

エネルギー源になる

脂質は糖質やたんぱく質と同じようにエネルギー源となる栄養素です。1gあたり9kcalで、糖質やたんぱく質に比べると効率が良いエネルギー源だと言えます。

細胞膜の材料になる

脂質はエネルギー源になるだけではありません。細胞膜の材料にもなります。
細胞膜とは細胞質の表面にある、細胞外と細胞内を仕切る膜です。

電子顕微鏡で見ると厚さ約10nmの薄い膜で、タンパク質のかたまりを含んだ2層のリン脂質の膜からできています。細胞内に酸素や栄養素を取り込んだり、細胞内で発⽣した⽼廃物を排出したり、細胞同⼠の情報伝達をするのが細胞膜の機能です。

その他の役割

これ以外にも脂質の役割はあります。

  • ホルモンの材料
  • 体脂肪として体温保持
  • 身体を衝撃から守るクッション
  • 脂溶性ビタミンの吸収補助

などなど。脂質はエネルギー源となるだけではなく、身体の構成要素や身体を守るためにも働いているのです。

たっぷり雑穀こそ健康に最適

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脂肪酸とは?

上でお伝えしたように、脂質はグリセリンと脂肪酸からなるもの。ひとえに脂質といっても形も性質も特徴がまるで違うのですが、それはなぜかというと脂肪酸が異なるからです。

脂肪酸とは、炭素と水素が手を組んで1つの鎖状に連なったもので、「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分けられます。

飽和脂肪酸

飽和脂肪酸は、水素がそれ以上結合する余地のない脂肪酸のことで、炭素の鎖にぎっしりとくっついている構造をしています。「水素が飽和状態でくっついている脂肪酸」という意味です。

牛や豚の脂身、バターや乳製品など動物性油脂に多く含まれています。ただし、ココナッツ油、パーム油、ヤシ油など植物性油脂でも飽和脂肪酸が含まれているものがあるようです。

水素と炭素の結束が強いためからか、常温でも固体を保つことができます。また、融点が高く酸化しにくいです。油は熱を加えると酸化して質が悪くなるので揚げ物や炒め物などの料理をするときは、飽和脂肪酸が多く含まれるもの(バターやラードなど)を使うこともよいでしょう。

飽和脂肪酸で気をつけることは、摂取過多。血流が悪くなり動脈硬化の原因となったりさまざまな生活習慣病の温床となります。

不飽和脂肪酸

不飽和脂肪酸は、水素がまだ結合する余地のある脂肪酸のことで、主に植物性の油、魚の油です。特徴は「常温で液体」であるということ。まだ細かく分類することができます。

下で説明している「オメガ○」というのは、脂肪酸の鎖の先頭から数えて○番目に二重結合(炭素同士が2本の鎖で繋がれている箇所)がある脂肪酸だということです。

一価不飽和脂肪酸(オメガ9)

主な脂肪酸はオレイン酸で、二重結合が1カ所なので「一価」と表記されます。

オリーブオイルに多く含まれているもので、他の不飽和脂肪酸と比べると酸化しにくいのが特徴

多価不飽和脂肪酸

二重結合が2個以上あるものなので「多価」と表記されます。

  • オメガ6

主な脂肪酸はアラキドン酸。一般的に使用されているサラダ油などに最も多く含まれています。熱に弱く、酸化しやすいのが特徴。体内で合成することができず、食事せ摂取しないといけない必須脂肪酸です。

  • オメガ3

主な脂肪酸はαリノレン酸、EPAやDHA。えごま油や亜麻仁油、魚の油に多く含まれています。熱に弱く、非常に酸化しやすいのが特徴。オメガ6と同様に必須脂肪酸です。

オメガ6とオメガ3のバランス

オメガ6もオメガ3も不飽和脂肪酸であり、必須脂肪酸であるのは共通ですが、正反対の働きをしているものがあります。

例えば、オメガ6は細胞膜を固くする、炎症作用を促進する働き。オメガ3は細胞膜を柔らかくする、炎症作用を抑制する働きなど。両方の機能がしっかり働くためには、これらの材料となるオメガ6とオメガ3をバランスよく摂ることが必要です。一般的にオメガ6とオメガ3の理想バランスは4:1が適切と言われています。

しかし、最近はオメガ6とオメガ3の摂取バランスが問題に。摂取比率が10:1、さらにひどい人は50:1くらいとも言われています。

なぜここまでバランスが悪くなってしまうかというと、外食生活をしていることでオメガ6が含まれている食品を食べる機会が多いのと、オメガ3が含まれている食品が少なく食べる機会が少ないからです。

現代人にアレルギーを持つ人が増えてきたのはオメガ6の摂りすぎで炎症反応が過剰に起こるようになったからだとも言われています。なので、意識してオメガ3の脂肪酸が含まれているものを摂取していきましょう。

トランス脂肪酸とは?

「トランス脂肪酸」をご存知でしょうか?今回の記事内でお伝えする「身体に悪い脂質」の代表がこちらになります。トランス脂肪酸に関する有名な実験があるので、まずはそれを取り上げることにします。

マーガリンはプラスチック?

アメリカ北カリフォルニアで自然食品店、そしてその業界のコンサルティング会社の経営者でもあるフレッド・ローが行った「マーガリン」の実験があります。

彼はマーガリンを正しい食品だと信じて販売していました。お客さんの多くも「動物性油脂のバターより植物性油脂のマーガリンのほうが健康によい」と思っていたはずです。

ところがある日、食品工業の技術者である常連客から「マーガリンを顕微鏡でのぞいてみると、プラスチックの構造にそっくりだ。マーガリンにプラスチック食品という名前をつけたくなる」という話を聞きます。

驚いたフレッド・ローは、マーガリンやショートニングが含まれている食品を売るのを中止して実験を開始。マーガリンの塊を小さなお皿に乗せて、その皿を店の裏部屋の窓際に置きました。
もし、マーガリンが本物の食べ物であるなら、いろんな虫や細菌がむらがるに違いないと考えます。バターの場合はハエやアリやカビでいっぱいになるからです。

実験の結果どうだったかというと、2年経っても何も変わらずもとのまま。その間どんな虫も一匹としてその塊に近寄るのを眼にすることはなく、ひとかけらのカビすら生えませんでした。

窓を通して入る日光の熱でマーガリンは半分溶けてくずれ、ほこりにまみれに。起こったことはこれだけだったのです。

トランス脂肪酸の何が問題なのか?

トランス脂肪酸は天然の脂肪酸ではなく人工的に作られた脂肪酸であり、水素添加という方法によって作られたものです。

不飽和脂肪酸は常温で液体、熱に弱く酸化しやすいという特徴がありました。なので、長期保存には向かないものでもあります。ただし、水素添加によって強引に飽和脂肪酸のように見せかけたものを作ることで、常温で固体、熱に強く酸化しにくいものをつくりあげたのです。

トランス脂肪酸を体内で処理をするのに時間がかかり、大量のビタミンやミネラルを消費するなど負担がかかってしまいます。さらにいうならば、身体に役に立つ機能はないし、活性酸素を大量発生させ身体を老化させたり、他の脂肪酸の機能を妨げるなど悪い働きをするのです。

トランス脂肪酸が多く含まれているのは、菓子パン、クッキー、クラッカー、ケーキ、チョコレート、スナック菓子、アイスクリーム、フライ、レトルトカレーなど。加工食品ににはほとんど含まれているといっても過言ではありません。

トランス脂肪酸に対する世界と日本の規制の違い

まずは、世界において。

世界保健機関(WHO)は、食品中のトランス脂肪酸の規制を重視しており、特に食品中のトランス脂肪酸濃度の上限値の設定や、部分水素添加油脂の食品への使用の規制を推奨。こうした規制を導入する国の数は、2015年には7か国でしたが、2020年には14か国になり、2022年4月時点では44か国に達したと報告があります。

WHOの提言を受けて、すでにアメリカのニューヨーク州やカリフォルニア州、カナダ、台湾、タイではトランス脂肪酸の食品への使用を禁止しています。また、EU加盟国やシンガポールではトランス脂肪酸濃度の上限値を設定したうえ表示を義務づけに。韓国、中国、香港では食品中のトランス脂肪酸濃度の表示が義務付けられています。


では、日本ではどうでしょうか

一言で申し上げるとしたら「野放し状態」です。トランス脂肪酸についての規制は何もされていないのです。

厚生労働省のHPでは「トランス脂肪酸については、健康影響が飽和脂肪酸に比べてかなり小さいと考えられること等から、目標量は定めていません。ただし、WHOが2003年からトランス脂肪酸の摂取量を総摂取エネルギーの1%に相当する量より少なくすることを目標としているため、厚生労働省もトランス脂肪酸の摂取量を総摂取エネルギー量の1%相当より少なくすること、1%相当より少ない場合でも、さらにできるだけ少なくすることが望ましいとしました。」とあります。

額面通りに読み取るのであれば「そうなのか」と思うのかもしれません。ただし、「食品業界からの圧力があるのではないか」と勘繰ってしまいます。海外では規制されるほどのものを、なぜ何ら規制もしないのかというのは疑問に思えてしまいます。

なので、現状わたしたち消費者がとれる選択は「自己防衛」ということではないでしょうか。自分で知識を身につけ、身体に良い脂質と悪い脂質があるんだということを学んで商品を選んでいくことがベストだと考えます。

まとめ

今回は「健康になるためには知っておくべき!身体によい脂質と悪い脂質」についてまとめてきました。

  • 脂質には身体によい脂質と悪い脂質がある。
  • 脂質はエネルギー源になるだけではなく、細胞膜の材料となったり身体の構成成分にもなる。
  • それ以外にもホルモンの材料になったり、脂溶性ビタミンの吸収を助けたりいろいろな役割がある。
  • 脂肪酸は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2種類に分類される。
  • 主に飽和脂肪酸は動物性油脂、不飽和脂肪酸は植物性油脂。
  • 飽和脂肪酸の特徴は、常温で固体、融点が高く酸化しにくい。
  • 不飽和脂肪酸の特徴は、常温で液体、熱に弱く酸化しやすい。
  • オメガ6とオメガ3は体内で合成されず、食品から摂らないといけない必須脂肪酸である
  • オメガ6とオメガ3の理想のバランスは4:1、でも現代人はバランスが悪くなっている人が多い
  • 積極的に摂取すべき脂質はオメガ3。
  • トランス脂肪酸は天然に存在しない人工的なもの。
  • 海外では規制されている国があるが、日本では規制がない。

このような内容についてお伝えしてきました。身体によい脂質を積極的に摂っていきましょう。

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