目次
23時間断食(OMAD・一日一食)の効果と正しいやり方
科学的根拠・向いている人・リスクを解説
SEC01 OMADとは何か・23時間断食の基本OMADとは何か——23時間断食の基本と「なぜ23時間なのか」
OMADの基本ルール
| 項目 | OMAD(23時間断食) | 16時間断食(リーンゲインズ) |
|---|---|---|
| 断食時間 | 23時間 | 16時間 |
| 食事窓 | 1時間以内 | 8時間以内 |
| 食事回数 | 1回 | 2〜3回 |
| オートファジー活性化 | より長く維持 | 活性化し始める段階 |
| 脂肪燃焼効率 | 高い | 中程度 |
| 筋肉維持のしやすさ | やや不利 | 比較的有利 |
| 継続のしやすさ | 難しい | 比較的しやすい |
「なぜ16時間ではなく23時間なのか」——時間が長いほど何が変わるのか
断食時間が長くなるほど、体内のグリコーゲンが枯渇し、エネルギー源が糖質から脂肪酸・ケトン体へと完全に切り替わるまでの時間が確保されます。特にオートファジーの活性化は断食開始から16〜18時間以降に本格化するという研究が複数あり、23時間断食ではこの活性化状態をより長く維持できます。
SEC02 科学的根拠・3つの変化とリスク科学的根拠——23時間断食が体に起こす3つの変化とリスク
①インスリン感受性の向上と脂肪燃焼
長時間断食によりインスリンレベルが低下し続けることで、細胞のインスリンへの反応性(インスリン感受性)が改善されます。インスリン感受性が高い状態では、食事で摂った糖質を筋肉のエネルギーとして効率よく利用でき、余分な糖質が体脂肪として蓄積されにくくなります(Wilkinson et al., 2020 / PMID:31813824)。
②オートファジーの活性化——「細胞の自己修復」が23時間で起きる理由
オートファジーとは、細胞が不要なタンパク質・損傷した細胞小器官を分解・再利用する「自己修復プログラム」です。研究では断食開始から約16〜18時間以降にオートファジーが本格的に活性化し始めるとされており(de Cabo & Mattson, 2019 / PMID:31881139)、23時間断食ではこの活性化状態を最大限に引き出せます。細胞レベルでの炎症抑制・老化した細胞成分の除去が促進される方向に働くと考えられており、特に40代以降に注目されているメカニズムです。
オートファジーを16時間断食で活性化する科学的根拠はこちら③ケトーシスと脂肪燃焼の促進
断食が長くなりグリコーゲンが枯渇すると、体は脂肪を分解してケトン体をエネルギー源として使い始めます(ケトーシス)。この状態では体脂肪が直接エネルギーとして消費されるため、脂肪燃焼効率が高まる方向に働きます。16時間断食でもケトーシスに入り始めることはありますが、23時間断食では完全なケトーシス状態が確立されやすい状態です。
「心血管リスク91%増加」報告——この数字の正しい読み方
①この研究は「16:8(8時間食事窓)の研究」であり、OMADの研究ではありません。
②「91%増加」は相対リスクの数字です。もともとの絶対リスクが低い集団では相対リスクが大きく見えても絶対リスクの変化は小さくなります。
③対象者の心血管リスク因子(既往歴・喫煙・肥満度など)が十分にコントロールされていないという批判が研究者間でも出ており、「因果関係の証明」ではなく「相関関係の観察」にとどまります。
正確な読み方:「極端な断食はすべての人に適しているわけではなく、向き不向きの判断が必要」ということです。
SEC03 向いている人・向いていない人OMADが向いている人・向いていない人——30〜60代の具体的な判断基準
OMADに向いている人——3つの具体的なパターン
| パターン | 特徴 | OMADが向いている理由 |
|---|---|---|
| デスクワーク中心の40〜50代 | 仕事が忙しく食事管理をシンプルにしたい | 1日1回にまとめることで管理コストを下げながら体重管理もできる。断食中のエネルギー消費が安定しやすい |
| 16時間断食を経験済みの人 | 頭痛・倦怠感・集中力低下が出なかった | 「16時間を問題なく経験した」実績が向き不向きの最も信頼できる判断材料 |
| 体脂肪を短期集中で落としたい人 | ウォーキング・軽いジョギング中心 | 軽〜中程度の運動が中心で体脂肪減少を優先する場合に効果が発揮されやすい |
OMADに向いていない人——30〜60代が特に該当しやすい条件
⚠️ 更年期・閉経後の女性:極端な食事制限は女性ホルモン(エストロゲン)のバランスに影響する可能性があります。骨密度低下が加速しやすい閉経後の女性では、カルシウム・ビタミンDを含む食事を1回にまとめることの栄養的リスクも考慮が必要です。
⚠️ 健康診断で血糖値・血圧・肝機能に数値が出ている人:長時間断食中の低血糖リスク・高血圧治療中・肝疾患のある方は、主治医への確認なしにOMADを始めることは推奨しません。
⚠️ 過去に食事制限で反動が出た経験がある人:極端な制限→反動による過食というパターンを繰り返した経験がある方には向いていません。
「まず16時間断食から試す」が推奨される理由
OMADを始める前に16時間断食を2〜3週間経験しておくことを推奨します。16時間で頭痛・倦怠感・著しい集中力低下が続くようであれば、23時間への移行はリスクが高くなります。また体が断食に慣れていくプロセスとして、いきなり23時間の断食を試みると糖質依存からの離脱反応が強く出て継続が困難になります。
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段階的な移行の考え方
16時間断食(2〜3週間):まず16時間断食を基本として確立します。「空腹感が管理できる・集中力が保てる・睡眠の質が落ちていない・運動パフォーマンスが著しく下がっていない」の4点が安定していることを確認してから次へ進みます。
20時間断食(1〜2週間):食事窓を4時間から2時間程度に縮めます。引き続き4つの観察ポイントを確認します。
23時間断食(OMAD):食事窓を1時間に絞ります。最初は週2〜3日から始めることを推奨します。毎日OMADにするのは体が適応してから段階的に増やす考え方が安全です。
続けていいサイン・やめるべきサインの判断基準
✓ 空腹感が管理できている
✓ 日中の集中力が保たれている
✓ 睡眠の質が変わっていない
✓ トレーニングパフォーマンスが維持されている
✗ 強い頭痛が2日以上続く
✗ 著しい倦怠感で日常生活に支障が出る
✗ 動悸・めまい・手の震えがある
✗ 睡眠が著しく悪化している
断食中に摂取していいもの・いけないもの
| 判断基準 | 具体例 |
|---|---|
| ✅ 摂取できる(インスリン反応なし) | 水・炭酸水(無糖)・ブラックコーヒー(砂糖・ミルクなし)・無糖の紅茶・緑茶・電解質水(砂糖なし) |
| ❌ 断食が中断される | 砂糖入りの飲み物・牛乳・豆乳・フルーツジュース・プロテインドリンク・BCAA(アミノ酸がインスリン反応を起こす可能性がある) |
食事窓内の栄養素の優先順位
| 優先順位 | 栄養素 | 理由・目安 |
|---|---|---|
| ①最優先 | タンパク質 | 筋肉の維持・修復に最重要。体重×1.6〜2.0g程度が一般的な目安 |
| ② | 野菜・食物繊維 | 腸内環境の維持・ビタミン・ミネラルの補給。1回の食事に意識的に入れる |
| ③ | 良質な脂質 | アボカド・ナッツ・オリーブオイル・魚。ホルモン産生・脂溶性ビタミン吸収に必要 |
| ④ | 炭水化物 | ①〜③を満たしたうえで残りのカロリーを炭水化物で補う考え方が基本 |
SEC05 OMADと筋トレの組み合わせ方OMADと筋トレの組み合わせ方——朝トレ・夜トレ別の食事窓の考え方
1回の食事でタンパク質を十分摂ることの課題
筋タンパク合成(mTOR)の観点では、タンパク質を複数回に分けて摂ることで合成シグナルを繰り返し刺激できます。1回の食事に1日分のタンパク質を集中させるOMADでは、この「頻度による刺激」が失われます。体重70kgの筋トレをしている方が必要なタンパク質量(112〜140g程度)を1回の食事でまとめて摂ることは、消化吸収の観点からも容易ではありません。
朝トレーニング・夜トレーニング別の食事窓設計
朝6〜7時トレーニング終了後→昼12〜13時を食事窓に設定が基本。トレーニング後の筋タンパク合成ウィンドウ内に食事窓を設けることでタンパク質利用効率を高める方向に働きます。
夕方〜夜のトレーニング後すぐ18〜19時の食事窓が自然。注意:就寝直前の食事は消化・睡眠の質に影響する可能性があります。食事窓は就寝の2〜3時間前までに終えることを推奨します。
SEC06 始めてから出やすい不調と対処の考え方始めてから出やすい不調とその対処の考え方
最初の1〜2週間に出やすい症状とその理由
OMADを始めた最初の1〜2週間に多くの方が経験する症状として、頭痛・倦怠感・集中力の低下・強い空腹感があります。これらは「糖質依存からの離脱反応」として起きるものです。体が脂肪をエネルギーとして使う代謝に適応するにつれて(通常1〜2週間)症状は軽減していきます。
電解質不足という盲点——塩分・マグネシウムが重要な理由
長時間断食中に見落とされやすいのが電解質の不足です。インスリンには腎臓でのナトリウム再吸収を促進する作用があるため、インスリンが低下する断食中はナトリウム(塩分)の排泄が増えます。ナトリウムが不足すると頭痛・倦怠感・筋肉のけいれんが起きやすくなります。
すぐ医療機関を受診すべき症状
・手の震え・冷や汗・強い空腹感と同時に起きる意識の朦朧感(低血糖の可能性)
・動悸・胸の痛み・強いめまい(心血管系への影響の可能性)
・2日以上続く激しい頭痛・嘔吐・視野の異常(脱水・その他の可能性)
よくある質問
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SEC07 まとめまとめ
OMAD(23時間断食・一日一食)は、インスリン感受性の改善・オートファジーの活性化・脂肪燃焼の促進という3つのメカニズムから、体重・体脂肪への効果を示す研究が複数存在する手法です。同時に「すべての人に向いているわけではない」という側面も持ちます。
- 「自分に向いているかどうかの判断」が実践前に最も重要:筋肉量の増加を優先したい方・更年期・持病のある方には向いていないケースがある(Wilkinson et al., 2020 / PMID:31813824)
- まず16時間断食から試して体調の安定を確認し、段階的に移行することが安全な始め方の基本:いきなり23時間から始めるのではなく、STEP01→02→03の段階的移行を推奨
- 始めてから出やすい頭痛・倦怠感の多くは電解質不足と糖質依存からの離脱反応:1〜2週間で改善するケースが多い。断食中の塩・マグネシウムの補給を意識する
- 筋トレを並行する場合は「体脂肪減少優先・筋肉維持」という目標設定が現実的:筋肥大を最優先にする場合は16時間断食のほうが向いている(Tinsley & La Bounty, 2015 / PMID:26374764)
- オートファジーの活性化は断食開始から16〜18時間以降に本格化:23時間断食ではこの活性化状態を最大限に維持できる(de Cabo & Mattson, 2019 / PMID:31881139)
断食×筋トレの個別プログラムを設計します
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| 所在地 | 〒182-0022 東京都調布市国領町4-51-6 アムール国領 B1F |
|---|---|
| 最寄り駅 | 京王線 国領駅 徒歩8分 |
| 営業時間 | AM 9:00 ~ PM 23:00(不定休) |
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関連記事
参考文献・科学的根拠
- 1Wilkinson MJ, Manoogian ENC, Zadourian A, Lo H, Fakhouri S, Shoghi A, Wang X, Fleischer JG, Navlakha S, Panda S, Taub PR. “Ten-Hour Time-Restricted Eating Reduces Weight, Blood Pressure, and Atherogenic Lipids in Patients with Metabolic Syndrome.” Cell Metab. 2020 Jan 7;31(1):92-104.e5. doi:10.1016/j.cmet.2019.11.004. Epub 2019 Dec 5. 代謝症候群患者を対象とした10時間制限食(TRE)の12週間RCT。体重・血圧・動脈硬化性脂質の有意な低下を確認。時間制限食がインスリン感受性を改善するメカニズムの根拠として引用。 PMID:31813824
- 2Tinsley GM, La Bounty PM. “Effects of intermittent fasting on body composition and clinical health markers in humans.” Nutr Rev. 2015 Oct;73(10):661-674. doi:10.1093/nutrit/nuv041. Epub 2015 Sep 15. 間欠断食が体組成・臨床的健康マーカーに与える効果を包括的にレビュー。様々な間欠断食パターン(16:8・ADF・5:2等)の体重・体脂肪・除脂肪体重への影響を整理。本記事のQUICK ANSWER・まとめ・FAQ Q5の根拠として引用。 PMID:26374764
- 3de Cabo R, Mattson MP. “Effects of Intermittent Fasting on Health, Aging, and Disease.” N Engl J Med. 2019 Dec 26;381(26):2541-2551. doi:10.1056/NEJMra1905136. NIH国立老化研究所・Johns Hopkins大学Mattson教授らによるNEJM総説。断食が18時間を超えると代謝スイッチ(グルコース→ケトン体エネルギー)が起きること、オートファジーの活性化・ストレス耐性向上・寿命延長との関連を包括的に解説。本記事SEC02②オートファジー活性化・SEC02③ケトーシスと脂肪燃焼・まとめの根拠として引用。 PMID:31881139
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