目次
正座と体幹の関係
腸腰筋・骨盤底筋への作用と
トレーニングへの取り入れ方
正座は日本の伝統的な座り方ですが、近年は「体幹に効果がある」「姿勢が良くなる」として注目されることが増えています。THE FITNESSでも「正座は体幹トレーニングになるんですか?」と質問を受けることがあります。この記事では正座のときに体幹筋にどのような作用が起きるのかを整理し、現代のトレーニングにどう取り入れるかを解説します。
WHAT HAPPENS INSIDE正座のときに体の中で何が起きているか
腸腰筋への作用——骨盤を立てるインナーマッスルが継続的に働く
正座では膝を深く屈曲し、骨盤を立てた状態で上半身を保持します。この姿勢では腸腰筋(大腰筋+腸骨筋)が骨盤の前傾を維持するために持続的に緊張します。椅子に座ったときは背もたれに体重を預けられるため腸腰筋はほぼ休んでいますが、正座では外部のサポートがないため自分の筋力で骨盤のポジションを維持する必要があります。
骨盤底筋群への作用——骨盤が立つことで最下部の体幹が緊張する
骨盤底筋群は体幹の「底面」を構成する筋肉群で、内臓を下から支える役割を持ちます。正座で骨盤が正しく立つと、骨盤底筋群が自然に収縮し、体幹全体の安定性を内側から支える状態になります。この作用は意識的な骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操など)とは異なり、姿勢保持に伴う自然な緊張です。
脊柱起立筋・多裂筋——背筋を保持する姿勢筋への負荷
正座で背筋を伸ばした状態を維持するには、脊柱起立筋(背骨の両側を走る長い筋肉)と多裂筋(背骨の深層にある安定化筋)が持続的に活動します。これはプランクの「静的保持」と同様の原理——動かずに姿勢を維持すること自体が筋肉への負荷になる——という点で、正座は「低負荷・長時間の静的体幹トレーニング」として機能しています。
WHY IT HELPS正座が姿勢改善・体幹安定に役立つ理由
正座の体幹への作用は、プランクやクランチのような動的な体幹トレーニングとは性質が異なります。プランクは短時間(30秒〜2分)の高負荷保持であるのに対し、正座は低負荷で比較的長時間(1〜5分以上)にわたって体幹筋の持続的な活動を促す「静的姿勢トレーニング」です。
猫背や反り腰は骨盤の後傾・過前傾が原因であることが多く、正座で骨盤を中間位に保つ習慣をつけることで日常の立ち座り動作でも骨盤のポジションを意識しやすくなります。立つ・歩く・階段を上るといった動作の基盤が整う効果が期待できます。
CORRECT FORM正しい正座のフォームと、効果を引き出す姿勢のポイント
骨盤を立てる——前傾・後傾を防ぐ意識の持ち方
正座で最も重要なのは骨盤を「立てる」ことです。お尻をかかとの上にのせた状態で、おへそをやや前方・上方に向けるイメージを持つと骨盤が適度な前傾位(中間位)に収まります。骨盤が後傾すると背中が丸まり(猫背)、過度に前傾すると腰が反ります(反り腰)。どちらにも偏らない「真ん中」を見つけることがポイントです。
呼吸との連動——横隔膜を意識した腹式呼吸で体幹の緊張を高める
正座中に鼻から吸ってお腹を膨らませ、口からゆっくり吐いてお腹を凹ませる「腹式呼吸」を意識すると、横隔膜と腹横筋が連動して活動し、体幹の安定性がさらに高まります。1呼吸4〜6秒のペースで呼吸を繰り返すと副交感神経も活性化され、リラックス効果も得られます。
時間の目安と注意点——しびれが出る前に無理なく続ける
体幹への効果を得るために長時間正座する必要はありません。1回1〜5分を1日2〜3回が現実的な目安です。しびれは膝裏の血管・神経が圧迫されることで起きるため、しびれが出る前に姿勢を変えてください。座布団やクッションをお尻の下に敷くと足首への負担が軽減され、保持しやすくなります。膝・足首に痛みがある方は無理をせず、「椅子正座」(椅子に浅く座り骨盤を立てる)で代替できます。
正しい姿勢と体幹を整える
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プランクとの組み合わせ——静的保持の前後に正座を取り入れる
プランクの前に1〜2分の正座で骨盤のポジションと体幹の意識を確認してからプランクに入ると、骨盤の位置が安定しやすくプランクのフォームが改善されやすくなります。プランク後のクールダウンとして正座+腹式呼吸を取り入れると、副交感神経への切り替えにも有効です。
コアトレーニングのウォームアップとしての活用
体幹トレーニング(プランク・バードドッグ・デッドバグなど)を始める前に正座で骨盤の中間位を確認し、腹式呼吸で体幹の深層筋を「起こす」ウォームアップとして使えます。特に朝のトレーニング前は筋肉がまだ目覚めていないため、正座→呼吸→コアトレという流れが有効です。
コアトレーニングの基本種目と段階的プログラムヨガ・ピラティスとの親和性
正座(ヨガでは「金剛座(Vajrasana)」に近い)は呼吸・体軸意識・骨盤アライメントという点でヨガ・ピラティスの基本姿勢と共通しています。ヨガやピラティスを実践している方にとって正座は日常での体幹意識を高める「オフマット練習」として位置づけることができます。
ストレス解消と運動——副交感神経の活性化姿勢と体幹を
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まとめ
正座は骨盤を立てた状態で腸腰筋・骨盤底筋群・脊柱起立筋を持続的に使う「低負荷の静的体幹トレーニング」としての側面を持っています。
- 腸腰筋が骨盤の前傾位を維持し、骨盤底筋群が自然に収縮する
- 脊柱起立筋・多裂筋が背筋を保持する持続的な負荷を受ける
- 骨盤の中間位を保つ習慣が、日常の姿勢改善につながる
- 1回1〜5分×1日2〜3回が現実的な目安。しびれが出る前にやめてOK
- プランク・コアトレーニングの前後に取り入れるとフォームが安定しやすい
- 腹式呼吸と組み合わせることで体幹の深層筋をさらに活性化できる
姿勢と体幹を専門的に改善したい方は、パーソナルトレーナーへご相談ください。
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参考文献
- 1大久保雄.「体幹筋機能のエビデンスとアスレティックトレーニング」日本アスレティックトレーニング学会誌. 2019;5(1):3-11. 埼玉医科大学保健医療学部理学療法学科。体幹筋のローカル筋(腹横筋・多裂筋)とグローバル筋(脊柱起立筋・腹直筋)の分類と機能を整理。正座中に作用する姿勢筋の役割理解の根拠として参照。 J-Stage
- 2健康長寿ネット(公益財団法人長寿科学振興財団).「体幹トレーニング」. 体幹の定義(頭部と四肢を除く胴体部分の筋肉群)、インナーマッスルとアウターマッスルの役割、静的・動的体幹トレーニングの効果を一般向けに解説。正座の体幹トレーニングとしての位置づけの参考として参照。 健康長寿ネット
- 3Sapsford RR, Richardson CA, Stanton WR. “Sitting posture affects pelvic floor muscle activity in parous women: an observational study.” Aust J Physiother. 2006;52(3):219-222. クイーンズランド大学。経産婦を対象に、座位姿勢の違い(背筋を伸ばした直立座位 vs 猫背座位)が骨盤底筋の筋活動に与える影響を観察。直立座位(骨盤が立った状態)で骨盤底筋の活動が有意に高いことを確認。正座で骨盤を立てることと骨盤底筋活性化の関係の根拠として参照。PMID:16942457
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