目次
お酒と寿命の関係
死亡リスクを高める飲み方・
下げる適量を科学的に解説
01 MORTALITY RISKお酒と寿命の関係|死亡リスクを高める飲み方とは
かつては「少量のお酒は健康に良い」という、いわゆるJ字カーブ説が広く知られていました。しかし2018年に医学誌Lancetに掲載された大規模研究では、19の高所得国、59万人超の飲酒者データを個人単位で統合分析した結果、飲酒量が増えるほど死亡リスクが直線的に上昇する関係が示され、少量飲酒に明確な保護効果があるとする従来の説には疑問が投げかけられています(Wood AM, et al. Lancet. 2018)。
この研究では、週にアルコール100gを超えるあたりから死亡リスクの上昇が明確になり、200gを超えると脳卒中・心不全・致死性の高血圧関連疾患のリスクが顕著に上昇することが示されました。一方で、虚血性心疾患による死亡リスクについては、多量飲酒層でもわずかに低いという結果も見られましたが、脳卒中や心不全など他の循環器疾患のリスク上昇がそれを上回るため、総合的には飲酒量が多いほど死亡リスクが高まるという結論になっています。研究チームの推計では、週350g以上(純アルコール換算で1日あたり日本酒約3合弱に相当)を飲み続ける場合、40歳時点での平均余命が最大で4〜5年短くなる可能性があるとされています。
日本国内でも、厚生労働省の資料によれば、健康寿命を短縮させる要因のうちおよそ9.2%がアルコールに関連するとされ、世界全体では年間180万人がアルコールに関連する原因で死亡していると報告されています(全死因の3.2%に相当)。
イメージをつかみやすいように、週あたりの飲酒量とリスク傾向の目安を簡単な表にまとめました。あくまで大規模研究の傾向を分かりやすく整理したものであり、個人差があることをご了承ください。
| 週あたりの純アルコール摂取量 | 日本酒換算の目安 | 死亡リスクの傾向 |
|---|---|---|
| ほぼ0g(飲まない) | ― | 比較の基準となる水準 |
| 100g未満 | 週5合未満 | 明確なリスク上昇は見られにくい水準 |
| 100〜200g | 週5〜10合程度 | 緩やかにリスクが上昇し始める水準 |
| 200〜350g | 週10〜17合程度 | 脳卒中・心不全等のリスクが明確に上昇する水準 |
| 350g以上 | 週17合以上 | 死亡リスクが顕著に上昇し、平均余命の短縮も報告される水準 |
なお、これまでのJ字カーブ説が生まれた背景には、比較対象となる「非飲酒者」グループに、かつて多量飲酒をしていて健康を害したために飲酒をやめた人が多く含まれていたという調査方法上の偏り(バイアス)があったのではないかという指摘も近年増えています。つまり「少量なら飲んだ方が良い」と結論づけるのではなく、「飲むなら適量を守り、飲まない選択も健康的である」という前提で考えることが、現時点でのより慎重な向き合い方といえます。
寿命を縮める要因はお酒だけではありません。運動不足や睡眠不足なども死亡リスクに影響することが大規模研究で示されています。生活習慣全体を見直したい方は、以下もあわせてご覧ください。
寿命を縮める生活習慣ワースト8|ハーバード×VA研究71万人が示す死亡リスクと30〜60代の改善ステップ02 TYPE OF ALCOHOLお酒の種類による死亡リスクの違い
「ワインだけ健康に良いという話を聞いたことがある」という方は少なくありません。実際に一部の研究では、ワインを主に飲む集団の方が、ビールや蒸留酒を主に飲む集団よりも死亡リスクが低い傾向が観察されることがあります。
しかし、この違いはワインに含まれるポリフェノールなどの成分そのものの効果というより、飲み方や生活背景の違い(交絡要因)による可能性が高いと考えられています。ワインを好んで飲む層は、食事とゆっくり時間をかけて楽しむ傾向があり、一度に飲む量が少なく、休肝日も取りやすいことが指摘されています。一方、ビンジ飲酒(短時間で多量に飲む飲み方)は蒸留酒やビールで起きやすく、これが死亡リスクの差として表れているのではないかという見方が有力です。
結論として、お酒の種類によって多少のリスクの差は観察されるものの、最終的に死亡リスクを左右する最大の要因は「摂取した純アルコールの総量」です。「ワインだから安心して量を増やしてよい」という考え方は避け、種類にかかわらず総量を意識することが重要です。
実践的な観点では、お酒の種類そのものよりも「自分がどの飲み方だと量を摂りすぎやすいか」を把握することが役立ちます。例えばビールは口当たりが良く量を摂取しやすい、ウイスキーなどの蒸留酒は水割りやハイボールにすることで摂取ペースを自分でコントロールしやすい、といった違いがあります。好みのお酒がある場合は、その種類でどうすればペースを落とせるかを考えるほうが現実的です。
体型維持を目的にお酒の種類を選びたい方は、以下でカロリーの観点からの種類別比較を紹介しています。
お酒をやめずに痩せる方法|40〜60代向け「最小ダメージ飲み方」と筋トレへの影響を解説03 GUIDELINE厚生労働省が示す「節度ある適度な飲酒」の基準
厚生労働省が推進する健康施策では、「節度ある適度な飲酒」として、1日あたり純アルコールで約20gを目安としています。純アルコール量は、次の式でおおよそ計算できます。
純アルコール量(g) = 飲む量(ml) × アルコール度数(%) ÷ 100 × 0.8
この式に当てはめると、代表的なお酒の純アルコール量は次のようになります。
| お酒の種類 | 量 | 度数 | 純アルコール量 |
|---|---|---|---|
| ビール | 中瓶1本(500ml) | 5% | 約20g |
| 日本酒 | 1合(180ml) | 15% | 約22g |
| ワイン | グラス2杯(200ml) | 12% | 約19g |
| 缶チューハイ | 1缶(350ml) | 7% | 約20g |
| ウイスキー | ダブル1杯(60ml) | 43% | 約21g |
つまり、いずれも「1杯・1本」程度でおよそ20g前後になる計算です。ただし近年は度数9%前後の「ストロング系」チューハイも増えており、同じ350ml缶でも純アルコール量が約25gに達するため、缶の数だけで安心せず、度数表示を確認する習慣をつけることをおすすめします。
この基準はあくまで一般的な目安です。女性は男性に比べて体内の水分量が少なく、同じ量を飲んでも血中アルコール濃度が高くなりやすいため、目安量よりも少なめにすることが推奨されています。また高齢になるほど肝臓のアルコール代謝能力が低下するため、60代では20代・30代の頃と同じ量を飲み続けると身体への負担が大きくなる点にも注意が必要です。
例えば、平日は毎日缶チューハイ(350ml、度数7%)を1本、金曜・土曜はそれに加えてビール中瓶を1本追加で飲む方の場合、純アルコール量は平日が約20g×5日=100g、金曜・土曜がそれぞれ約40g×2日=80gとなり、週合計は約180gになります。これは先に紹介した目安表では「緩やかにリスクが上昇し始める水準」に該当します。この方が週2日の休肝日を設定し、金曜・土曜の追加分をやめるだけで、週の合計は約100g前後まで下がり、リスクの低い水準に近づけることができます。このように、自分の飲酒パターンを数字に置き換えてみることで、どこを見直せば良いかが具体的に見えてきます。
厚生労働省は、休肝日を週に2日程度設けることも推奨しています。次の章では、休肝日が死亡リスクにどのように関わるかを国内の追跡調査データから見ていきます。
04 GLOBAL COMPARISON海外のガイドラインとの比較|WHOやアメリカ・イギリスの基準
適量の基準は国によって異なります。世界保健機関(WHO)は、近年「安全に飲めるアルコール量に明確な閾値はない」という立場を明確にしており、量にかかわらずリスクはゼロにはならないという考え方を採用しています。
イギリスの保健当局は、男女ともに週14ユニット(純アルコール約112g)を上限の目安として示しており、これは日本の基準(1日20g、週換算で約140g)よりもやや厳しい水準です。アメリカの食事ガイドラインでは、飲酒する場合は男性1日2杯、女性1日1杯までを目安としていますが、近年の改定議論では、この基準をさらに引き下げるべきだという意見も出ています。
さらに、カナダの保健当局は2023年に飲酒ガイドラインを大幅に見直し、「週2杯以下」を低リスクの目安とする、非常に厳しい基準を示しました。これは、飲酒に関連するがんなどのリスクが、想定されていたよりも低い飲酒量から始まっている可能性を重視した結果とされています。世界的に見ると、適量の基準は年々引き下げられる方向にあり、今後も見直しが続く可能性がある分野だといえます。
このように、国際的には日本の基準よりも厳しい方向に見直される傾向があります。「日本の基準内だから安心」と考えるのではなく、基準はあくまで目安であり、リスクをゼロにしたいのであれば飲酒量はできる限り少なくすることが望ましいという国際的な潮流も知っておくとよいでしょう。
05 REST DAYS国内コホート研究が示す死亡リスクと休肝日の効果
国立がん研究センターの研究グループが実施した、日本人約31万人を対象とする6つの大規模コホート研究の統合解析(Inoue M, et al.)では、がんや循環器疾患になっていなかった中高年の男女を長期間追跡し、飲酒量と死亡リスクの関連を調べています。この調査では、男性は月1日〜週449g程度の飲酒量の範囲で全死亡リスクの低下が見られた一方、週600g以上のグループでは統計的に有意なリスク上昇が確認されました。女性では月1日〜週149gの範囲で低下が見られ、週450g以上で上昇するという結果でした。男女で許容範囲に差があるのは、前述した体格・体内水分量の違いが影響していると考えられます。
死因別に見ると、男女ともにがん死亡・脳血管死亡・心疾患死亡について、少〜中程度の飲酒量のグループで死亡リスクの低下が見られました。男性ではさらに呼吸器疾患による死亡でも同様の傾向が確認されています。ただし、これは「お酒を全く飲まない人」を基準にした比較であり、実際にお酒を飲む人同士で比較すると、飲む量が多いほど全死亡リスクやがん・脳血管疾患による死亡リスクが上昇するという、より直感的な結果も同時に示されています。
さらに、国内の追跡調査では、週あたりの飲酒量が同じであっても、休肝日の有無によって死亡リスクが異なることも報告されています。普段お酒を飲む人のうち、週に1〜2日の休肝日を取るグループは、休肝日を全く取らないグループに比べて、全死亡・がん死亡・脳血管疾患死亡のリスクが低い傾向が示されました。
休肝日にリスク低減効果が見られる理由として、2つの可能性が指摘されています。第一に、毎日飲酒する人は発がん物質であるアセトアルデヒドに常時さらされていますが、休肝日を設けることでその曝露量が減ることです。第二に、社会的な要因です。休肝日を取る人は、日常的な一人飲みではなく、会食や飲み会など社会的な交流を伴う場での飲酒に偏る傾向があり、社会的なつながりの多さそのものが健康に良い影響を与えている可能性があるとされています。いずれにしても、「週の飲酒量を変えずに休肝日だけ増やす」という工夫だけでも、死亡リスクの観点では意味があるといえます。
同じ多目的コホート研究から派生した別の解析では、糖尿病や大腸がんについても飲酒量との関連が調べられています。全死因や主要な循環器疾患・がん死亡では月1日〜週450g程度までは大きなリスク上昇が見られなかったのに対し、2型糖尿病や大腸がんについては、日本酒換算で1日平均1合を超えるあたりから発症リスクが高まるという、より厳しい結果が示されています。これは、疾患によって「安全に飲める量」の基準が異なることを意味しており、生活習慣病をまとめて予防したいと考えるのであれば、全死因のリスクだけでなく、糖尿病・大腸がんの基準に近い、日本酒換算で1日1合程度までに抑えておくことがより安全な選択といえます。
がんとの関連については、飲酒とALDH2の遺伝的な違いを組み合わせた解析から、飲酒量が多いほど食道がんや頭頸部がんなどのリスクが上昇することが報告されています(Oze I, et al.)。次の章では、この体質差についてさらに詳しく解説します。
脂肪肝や肝機能に不安がある方は、以下もご参考ください。
脂肪肝でも筋トレは効果ある?肝機能を改善する運動と食事の始め方06 ALDH2ALDH2遺伝子多型とフラッシング反応|体質による違い
お酒の代謝は、アルコール脱水素酵素(ADH)がエタノールをアセトアルデヒドに変え、さらにアルデヒド脱水素酵素2型(ALDH2)がアセトアルデヒドを分解する、という2段階で進みます。この2段階目を担うALDH2の働きには、遺伝的に3つのタイプがあることが分かっています。
| 遺伝子タイプ | 割合の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| ALDH2の働きが正常(*1/*1) | 日本人の約半数 | アセトアルデヒドを速やかに分解できる |
| 働きが半分程度(*1/*2、ヘテロ接合型) | 日本人の約4割 | 少量でフラッシング反応が出やすい |
| ほとんど働かない(*2/*2、ホモ接合型) | 日本人の一部 | お酒をほとんど受け付けない体質 |
このうち、*1/*2のヘテロ接合型は、少量の飲酒では顔が赤くなる、心拍数が上がる、頭痛が起きるといった「フラッシング反応」が出やすい一方、飲酒を繰り返すうちに反応が目立たなくなり、量を飲めるようになってしまうケースが少なくありません。しかし、これは体質そのものが改善したわけではなく、アセトアルデヒドの分解の遅さは変わっていません。「以前は弱かったのに、今は飲めるようになった」という変化は、体に良い適応ではなく、むしろ注意すべきサインと捉える必要があります。
実際に、フラッシング反応が出やすい方は、アセトアルデヒドが体内に長く留まりやすいため、少量の飲酒であっても食道がんなどのリスクが非飲酒者や正常型の方より高まりやすいことが研究で報告されています(Oze I, et al.)。特に、フラッシング反応があるにもかかわらず飲酒を続けている方は、正常型で同じ量を飲む方と比べて、消化器系のがんリスクが高いという報告もあります。
少量のアルコールを含んだ消毒用エタノールを腕の内側に貼って肌の赤みの変化を見る、いわゆる「パッチテスト」で簡易的に確認する方法もありますが、正確な判定には医療機関での遺伝子検査が必要です。心配な方は、健康診断の際に相談することをおすすめします。
いずれにしても、フラッシング反応がある、または過去にあった方は、「多少なら大丈夫」と考えず、飲酒量を意識的に少なくすることが賢明です。
07 DISEASE MECHANISMアルコールが寿命に影響する病気のメカニズム
なぜ飲酒量が多いと死亡リスクが上がるのか、具体的な病気のメカニズムを理解しておくと、日々の飲酒量を見直す動機付けになります。
肝疾患(脂肪肝→肝炎→肝硬変)
継続的な多量飲酒は、肝臓に脂肪が蓄積するアルコール性脂肪肝を招きます。この段階では自覚症状がほとんどありませんが、放置すると炎症を伴うアルコール性肝炎、さらに肝臓が硬くなり機能を失っていく肝硬変へと進行することがあります。肝硬変まで進行すると、肝がんの発症リスクも大きく高まります。
消化器がん(食道がん・咽頭がん・口腔がん)
前述の通り、特にALDH2の働きが弱い体質の方は、アセトアルデヒドが口腔から食道の粘膜に与えるダメージが蓄積しやすく、これらのがんのリスクが顕著に高まることが報告されています。
循環器疾患(不整脈・心筋症・脳出血)
大量飲酒は血圧上昇や心筋への直接的な負担により、不整脈やアルコール性心筋症のリスクを高めます。また、飲酒直後の急激な血圧変動は、脳出血のリスクとも関連することが指摘されています。
膵炎
アルコールは膵臓に強い炎症を引き起こすことがあり、急性・慢性膵炎の主要な原因の一つとされています。一度慢性化すると、消化機能や血糖コントロールに長期的な影響を及ぼします。
認知機能低下
長期にわたる多量飲酒は、脳の萎縮や記憶力・判断力の低下と関連することが複数の研究で報告されています。医療関係者からも、多量飲酒を続けた場合の将来的な健康寿命への影響について注意を促す発信も増えています。
免疫機能への影響
多量の飲酒を継続すると、白血球の働きが低下し、感染症にかかりやすくなることが報告されています。特に肺炎などの呼吸器感染症のリスクが、多量飲酒者で高まる傾向が複数の研究で示されています。
骨の健康への影響
アルコールは腸管でのカルシウム吸収を妨げるほか、骨形成に関わるホルモンバランスにも影響を与えるため、長期的な多量飲酒は骨密度の低下と関連することが知られています。特に女性は50代以降、閉経に伴うエストロゲンの減少で骨密度が下がりやすい時期と重なるため、飲酒量が多い場合は骨折リスクがより高まる可能性があります。
なぜお酒がこれほど多くの病気に関わるのか、根本的な理由の一つに、アルコールの代謝過程で生じるアセトアルデヒドが、世界保健機関の関連機関である国際がん研究機関(IARC)によって「人に対して発がん性がある」グループ1に分類されている物質であることが挙げられます。アセトアルデヒドはDNAに直接結合し、細胞の遺伝情報を傷つける性質があるため、代謝が遅い体質の方ほど、口腔・咽頭・食道といったアルコールが直接触れる部位でのダメージが蓄積しやすくなります。さらに、喫煙習慣がある方がお酒を飲むと、それぞれ単独で摂取するよりもリスクが大きく高まる「相乗効果」が生じることも報告されています。特にALDH2の働きが弱い体質で喫煙もする方は、食道がんなどのリスクがさらに高くなるとされているため、禁煙と節酒をあわせて取り組むことが望ましいといえます。
これらの疾患は、いずれも「ある日突然」ではなく、数年〜数十年かけて進行する点が特徴です。だからこそ、症状が出る前の今の時点で飲酒量や休肝日の頻度を見直すことに意味があります。
08 DATA CAVEAT本記事のデータの見方における注意点
本記事で紹介した研究の多くは、大人数を長期間追跡する「コホート研究」と呼ばれる手法によるものです。この手法は、飲酒量と死亡リスクの「関連」を明らかにするのに優れていますが、実験的に飲酒量を割り振っているわけではないため、他の生活習慣(食事内容、運動習慣、喫煙、既往症など)の影響を完全には排除できないという限界があります。研究チームは年齢や喫煙習慣などで統計的な調整を行っていますが、それでも「飲酒量が少ない人は他の生活習慣も良好である傾向がある」といった要因が結果に影響している可能性は残ります。
また、これらの数値はあくまで集団を対象とした平均的な傾向であり、個人の体質・持病・生活背景によってリスクの現れ方は異なります。本記事の情報は、ご自身の飲酒習慣を見直すための一般的な目安としてご活用いただき、持病がある方や飲酒量に不安がある方は、必ずかかりつけ医にご相談ください。
09 BY AGE & SEX年代・性別による注意点|30〜60代が知っておきたいこと
年齢を重ねるとともに、肝臓のアルコール代謝酵素の働きは徐々に低下していきます。年代別に注意したい点を整理します。
血圧に不安がある方は、以下もあわせてご確認ください。
高血圧でも安全に筋トレする方法|数値別の運動強度と注意点女性については、年代を問わず体脂肪率が高く体内水分量が少ないため、同じ量のお酒を飲んでも血中アルコール濃度が上がりやすい傾向があります。また、女性はアルコールに関連する肝疾患のリスクが男性よりも少ない飲酒量で高まりやすいことも知られています。
40代以降は、飲酒による睡眠の質の低下や筋肉量の減少との相互作用にも注意が必要です。アルコールは寝つきを良くするように感じられても、深い睡眠を妨げ、成長ホルモンの分泌を抑制することが知られています。睡眠と筋肉づくりの関係については以下で詳しく解説しています。
成長ホルモンを最大化する睡眠戦略|寝る時間・深さ・筋トレ効果を高める方法10 SELF CHECK死亡リスクを高める危険な飲み方チェックリスト
次のうち、当てはまる項目が多いほど、死亡リスクに関わる飲み方になっている可能性があります。ご自身の飲酒習慣と照らし合わせてみてください。
- 休肝日が週0〜1日以下である:休肝日を取らない飲み方は、同じ週間飲酒量でも死亡リスクが高くなる傾向が国内の追跡調査で示されています。まずは週2日を目標にしましょう。
- 一度の飲酒で日本酒3合(またはビール中瓶3本相当)以上を飲む「ビンジ飲酒」がある:短時間の大量飲酒は、急性アルコール中毒のリスクだけでなく、長期的な死亡リスクの上昇とも関連しています。
- 寝つきを良くするための「寝酒」として毎晩お酒を飲んでいる:寝酒は一時的に寝つきを良くしても、深い睡眠を妨げ、翌日の疲労回復を阻害します。習慣化すると休肝日が取れなくなる原因にもなります。
- 顔が赤くなりやすい体質だと自覚しているが、飲酒量を減らしていない:フラッシング反応がある方は、少量でも特定のがんリスクが高まりやすいことが報告されています。体質は変わらないという前提で量を見直しましょう。
- 空腹の状態で飲酒することが多い:空腹時の飲酒は血中アルコール濃度が急激に上がりやすく、肝臓への負担も大きくなります。食事と一緒に、ゆっくり飲むことを意識しましょう。
- 二日酔いの状態のまま出勤・活動することがある:翌日に影響が残るほどの飲酒は、その日だけの問題ではなく飲酒量そのものを見直すサインです。
- 健康診断で肝機能(γ-GTP・AST・ALT等)の数値を指摘されたことがある:数値異常は体からの明確な警告です。指摘を受けた場合は放置せず、飲酒量の見直しと再検査を行いましょう。
- 飲酒量を減らそうとしても、なかなか減らせない:自分の意志だけでコントロールが難しいと感じる場合は、一人で抱え込まず専門機関への相談も選択肢に入れてください。
3つ以上当てはまる方は、次の章で紹介する改善ステップから、無理のない範囲で見直しを始めてみましょう。
食事・運動・生活習慣の総合的な改善プログラムのご相談
THE FITNESSでは18年の指導経験をもとに、飲酒習慣を含めた食事設計・トレーニングプログラム・生活習慣の改善を個別に指導しています。調布市・国領駅徒歩8分・オンライン対応。
無料体験・カウンセリングのご予約 →11 QUITTING SAFELY節酒・断酒を始める際の注意点
チェックリストで複数当てはまった方の中には、思い切って大幅に減らしたい、あるいは断酒したいと考える方もいるかもしれません。ただし、長期間にわたり多量の飲酒を続けてきた方が急に飲酒をやめると、手の震え、発汗、不眠、動悸といった離脱症状が出ることがあります。まれに重篤な症状に至るケースもあるため、日常的に多量の飲酒を続けてきた自覚がある方は、自己判断で急に断酒するのではなく、医療機関(精神科・心療内科・アルコール専門外来など)に相談しながら進めることが安全です。
一方、通常の範囲での飲酒を減らす程度であれば、急に断酒するよりも、まずは休肝日を増やす、飲む量を少しずつ減らす、といった段階的な方法の方が継続しやすい傾向があります。「今週は休肝日を1日増やす」「いつもより1杯減らす」といった小さな目標を積み重ねることが、無理なく長続きさせるコツです。
隠れて飲む、飲酒のことで嘘をつく、飲まないとイライラする——こうした違和感を自分自身で覚える場合は、アルコール依存症の可能性も視野に入れ、早めに専門機関へ相談することをおすすめします。全国の保健所や精神保健福祉センターでは、アルコールに関する無料相談を行っています。
12 IMPROVEMENT STEPS飲酒寿命を延ばす生活習慣改善ステップ
栄養面での工夫:お酒を飲む際は、空腹を避けるだけでなく、一緒に摂る栄養素にも意識を向けると、体への負担を軽減しやすくなります。たんぱく質を含む食品(枝豆、豆腐、焼き鳥など)は、アルコールの吸収速度を緩やかにする効果が期待できます。またビタミンB1は、アルコール代謝の過程で消費されやすい栄養素であり、豚肉やナッツ類などから補うことが推奨されています。飲酒中や飲酒後にこまめに水分を摂ることも、脱水を防ぎ、翌日への負担を軽減するうえで基本となる工夫です。
ストレスとの付き合い方:お酒を飲む理由として「ストレス解消」を挙げる方は少なくありません。しかし、アルコールによるリラックス効果は一時的なものであり、飲酒量が増えるほど翌日の疲労感やイライラにつながり、かえってストレスを感じやすくなることもあります。ウォーキングや入浴、深呼吸、趣味の時間など、お酒以外のストレス解消習慣をいくつか用意しておくと、休肝日や節酒生活を無理なく続けやすくなります。運動習慣はストレス解消と同時に生活習慣全体の改善にもつながるため、あわせて取り入れることをおすすめします。
生活習慣全体を見直したい調布市在住・在勤の方は、以下もご覧ください。
調布市男性のダイエット|パーソナルジムで結果を出す食事・トレーニング設計【月2回更新・第1土曜と第3土曜】理想の体と健康を最短で手に入れる実践ノウハウをお届けする月額限定マガジンです。900記事以上の執筆実績とデータに基づき、ネットの一般論では成果が出なかった方へ「今日からマネできる具体的な食事・筋トレプラン」を配信。
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まとめ
お酒と寿命の関係は、「飲めば必ず縮む」「少量なら必ず健康に良い」という単純な話ではなく、飲酒量・飲み方・体質という複数の要素が組み合わさって決まります。特に重要なのは、お酒の種類よりも純アルコールの総量を意識すること、そして自分がフラッシング反応の出やすい体質かどうかを把握することです。肝疾患や消化器がん、循環器疾患、認知機能低下といった具体的な病気は、いずれも長い年月をかけて進行するため、症状が出る前の今が見直しのタイミングといえます。
まずは今日から、週2日の休肝日を曜日で決めて実行することから始めてみましょう。1週間の飲酒量を記録し、厚生労働省が示す1日20g程度の目安と比較することも、次の一歩として有効です。40代・50代・60代とそれぞれの年代で体の変化は異なりますので、ご自身の年代や体調に合わせて、無理のない範囲でお酒との付き合い方を見直していきましょう。
THE FITNESS|調布市のパーソナルジム
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参考文献
- 1Wood AM, Kaptoge S, Butterworth AS, et al. “Risk thresholds for alcohol consumption: combined analysis of individual-participant data for 599,912 current drinkers in 83 prospective studies.” Lancet. 2018;391(10129):1513-1523. 19の高所得国・83の前向き研究から59万人超の飲酒者データを統合解析。週100g以下の飲酒で全死因死亡リスクが最も低く、それを超えると直線的にリスクが上昇することを示した。J字カーブ説を見直す根拠として参照。PMID:29676281
- 2Inoue M, Nagata C, Tsuji I, et al. “Impact of alcohol intake on total mortality and mortality from major causes in Japan: a pooled analysis of six large-scale cohort studies.” J Epidemiol Community Health. 2012;66(5):448-456. 国立がん研究センターの研究班による、日本人約31万人を対象とした6つの大規模コホート研究の統合解析。飲酒量と全死亡・主要死因別死亡リスクの関連を検証。国内における飲酒量と死亡リスクの根拠として参照。PMID:21148820
- 3Oze I, Matsuo K, Hosono S, et al. “Comparison between self-reported facial flushing after alcohol consumption and ALDH2 Glu504Lys polymorphism for risk of upper aerodigestive tract cancer in a Japanese population.” Cancer Sci. 2010;101(8):1875-1880. 日本人集団において、飲酒後の顔面紅潮(フラッシング反応)の自己申告とALDH2遺伝子多型を比較し、いずれも上気道消化管がんリスクの指標となることを確認。フラッシング反応とがんリスクの関係の根拠として参照。PMID:20518787
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