目次
たんぱく質は1回20gまで?
最新研究が証明した「吸収上限なし」の真実
LA 17年指導 ・ NABBA GPF 2025 優勝 ・ 調布市 THE FITNESS 代表。栄養科学に基づいた食事設計を提供。
「たんぱく質は1回20gまでしか吸収されない」——この「常識」を信じてプロテインを小分けにしている方は多いのではないでしょうか。しかしこの20g神話は、科学的には誤解です。
01 ORIGIN OF THE MYTH「20g神話」はどこから生まれたのか
2000年代初頭の研究の本当の意味
20g神話の出発点は、2000年代に発表された「20gのタンパク質で筋タンパク質合成(MPS)が最大化される」という研究データです。しかしこの研究が示したのは「20gでMPSのスイッチが入る」であり、「20g以上は吸収されない」ではありませんでした。
「筋肉合成の最低ライン」と「吸収の上限」を混同した誤解
腸管でのタンパク質の「吸収」と、筋肉でのタンパク質の「合成」はまったく別のプロセスです。腸管は摂取したタンパク質をほぼ100%吸収します(ただし速度に個人差あり)。一方、1回の食事で筋合成に使える量には閾値(20〜40g程度で反応が飽和)がありますが、余ったアミノ酸は他の用途(酵素・ホルモン・免疫・エネルギー源)に使われます。「吸収されない」のではなく「筋合成以外にも使われる」のが正確な理解です。
02 LATEST RESEARCH最新研究が示す科学的事実
ISSN(国際スポーツ栄養学会)の結論
ISSNの2017年ポジションスタンド(2024年改訂確認済み)では、「1食あたり0.25〜0.55g/kg体重のタンパク質が筋合成を最大化する」とされています。体重70kgの方なら17.5〜38.5g/食ですが、これは「最適範囲」であって「上限」ではないことが明記されています。
Cell Reports Medicine(2023年12月):25gと100gの比較
2023年12月にCell Reports Medicineに掲載された研究では、レジスタンストレーニング後に25gと100gのタンパク質を摂取した群を比較。100g群の方が12時間にわたる筋タンパク質合成が有意に高かったことが報告されました。つまり25g以上のタンパク質も無駄にはならず、筋合成に寄与しています。
科学的結論:20gは「最低ライン」であり「上限」ではない
複数の研究を総合すると、20gは筋合成のスイッチが入る「最低ライン」であり、それ以上を摂取しても吸収され、筋合成・回復・免疫に利用されます。「20gまでしか吸収されない」は科学的に否定されているというのが現在の研究コンセンサスです。
100gを一度に摂るよりも30〜50gを3〜4食に分散させた方が、MPSの刺激頻度を最大化できます。「上限はない」が「分散させなくていい」を意味するわけではありません。実践的には毎食30〜50g+必要に応じてプロテインで補完が最適です。
03 OPTIMAL AMOUNTでは1回何gが最適か?体重・目的別ガイド
| 体重 | 筋肥大目的(0.4〜0.55g/kg) | 維持・健康目的(0.25〜0.4g/kg) | 50代以上(0.5〜0.7g/kg) |
|---|---|---|---|
| 50kg | 20〜28g | 13〜20g | 25〜35g |
| 60kg | 24〜33g | 15〜24g | 30〜42g |
| 70kg | 28〜39g | 18〜28g | 35〜49g |
| 80kg | 32〜44g | 20〜32g | 40〜56g |
50代以上のアナボリック抵抗性
50代以上は同じ量のタンパク質摂取に対する筋合成反応が低下する「アナボリック抵抗性」が生じます。そのため若年者より1食あたり10〜15g多めに摂取することが推奨されます。特にロイシンを多く含む乳製品・鶏肉・卵が効果的です。
04 MEAL PLANS今日から実践!具体的な食事プラン例
1日3食タイプ(体重65kg・筋トレあり・目標120g/日)
| 食事 | メニュー例 | タンパク質 |
|---|---|---|
| 朝食 | 卵3個のスクランブル+ギリシャヨーグルト150g+パン | 約35g |
| 昼食 | 鶏むね肉200g+玄米+サラダ | 約45g |
| 夕食 | 鮭1切れ+納豆+味噌汁+白米 | 約35g |
| 合計 | 約115g |
1日2食+間食タイプ(忙しい方向け・目標100g/日)
| 食事 | メニュー例 | タンパク質 |
|---|---|---|
| 昼食 | 牛丼(並盛)+卵+味噌汁 | 約35g |
| 間食(トレ後) | プロテインシェイク+バナナ | 約30g |
| 夕食 | 豚しゃぶ200g+豆腐+ほうれん草 | 約40g |
| 合計 | 約105g |
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まとめ——THE FITNESSが推奨する実践3原則
原則① 「20gは最低ライン」であり「上限」ではない。1食30〜50gを安心して摂ってOK。
原則② 毎食にタンパク質を含めつつ、3〜4食に分散させるとMPSの刺激頻度を最大化できる。
原則③ 50代以上は1食あたり10〜15g多めに。ロイシンの多い食材(鶏肉・卵・乳製品)を優先する。
よくある質問|たんぱく質の摂取量Q&A
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参考文献
- 1Jäger R, Kerksick CM, Campbell BI, et al. “International Society of Sports Nutrition Position Stand: protein and exercise.” J Int Soc Sports Nutr. 2017;14:20. タンパク質と運動に関するISSNポジションスタンド。 PMID:28642676
- 2Trommelen J, van Lieshout GAA, Nyakayiru J, Holwerda AM, Smeets JSJ, Hendriks FK, van Kranenburg JMX, Zorenc AH, Senden JM, Goessens JPB, Gijsen AP, van Loon LJC. “The anabolic response to protein ingestion during recovery from exercise has no upper limit in magnitude and duration in vivo in humans.” Cell Rep Med. 2023;4(12):101324. 運動後のタンパク質摂取に対するアナボリック応答に上限がないことを示した研究(25g vs 100gの比較)。 PMID:38118410
- 3Morton RW, Murphy KT, McKellar SR, et al. “A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training-induced gains in muscle mass and strength in healthy adults.” Br J Sports Med. 2018;52(6):376-384. タンパク質摂取量と筋量・筋力増加のメタ分析。 PMID:28698222
- 4Moore DR, Churchward-Venne TA, Witard O, et al. “Protein ingestion to stimulate myofibrillar protein synthesis requires greater relative protein intakes in healthy older versus younger men.” J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2015;70(1):57-62. 高齢者は若年者より多くのタンパク質摂取が必要であることを示した研究。 PMID:25056502
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