QUICK ANSWER|股関節が痛くても筋トレはできるか?

急性期(NRS4以上)は荷重をかけない非荷重種目のみ実施し、慢性安定期(NRS3以下)は股関節屈曲90°以内・体重の1倍未満の負荷から段階的に再開するのが目安です。変形性股関節症でも中殿筋・大腿四頭筋の強化によって関節接触圧を最大30%軽減できることが示されており、「動かさない」よりも「設計して動かす」が正解です。

⚠️ この記事の情報は医師の診断・治療指示に代わるものではありません。疑問や不安がある場合は必ず専門医にご相談ください。

01 DISEASE ASSESSMENTまず確認:股関節のどこが・どんなときに痛いかで対応が変わる

股関節の痛みを「股関節痛」と一括りにしてしまうと、対応策が全く変わってきます。原因となる病態が異なれば、避けるべき動き・強化すべき筋肉・フェーズの進め方がすべて異なります。まず自分の痛みがどの病態に近いかを確認することが安全なトレーニング設計の出発点です。

股関節痛の3大病態:変形性/インピンジメント/滑液包炎の違い

① 変形性股関節症(Osteoarthritis:OA)

軟骨が摩耗し骨と骨が直接接触することで生じる変性疾患です。50〜60代の女性に多く、深い屈曲・内旋・内転での痛みが特徴です。「しゃがむと痛い」「靴下を履くのがつらい」という訴えが典型的です。適切な運動療法は疼痛・機能・QOLを改善する最も推奨度の高い非手術的介入とされています(Fransen et al., 2014 / PMID:24756895)。

② FAI(大腿寛骨臼インピンジメント)

股関節の骨形態の問題により、屈曲+内旋の動作で骨同士が衝突し痛みが出る状態です。30〜40代のスポーツ活動者・デスクワーカーに多く、スクワットやデッドリフトで「股関節の前面が詰まる感じ」として現れます。放置すると関節軟骨・関節唇の損傷に進行します。

③ 大転子滑液包炎(Greater Trochanteric Bursitis)

大転子周囲の滑液包が炎症を起こした状態です。股関節の外側〜臀部外側の点在痛が特徴で、横向き寝・患側圧迫・ランニング・階段で増悪します。腸脛靱帯の過緊張・中殿筋の筋力低下が主因であることが多いです。

病態痛みが出やすい動作比較的出にくい動作
変形性股関節症深い屈曲・内旋・内転・荷重時の回旋浅い屈曲範囲・水平面の動き
FAI屈曲90°超+内旋・ディープスクワットワイドスタンス・つま先外向きでの浅い屈曲
大転子滑液包炎患側を下にした横向き・腸脛靱帯伸張股関節伸展位・臀部への直接圧迫回避
膝と股関節を同時に悩む方の安全なトレーニング設計

痛みフェーズ判定:NRSスケール×日常動作チェック

トレーニングの内容を決める前に、現在の痛みフェーズを数値で把握してください。NRSは痛みを0(まったく痛みなし)〜10(これ以上ない最悪の痛み)の11段階で数値化するスケールです。トレーニング開始前・種目中・翌日朝の3タイミングで確認する習慣をつけましょう。

Q1. 安静にしていても痛みがある(安静時痛)→ YES → 即受診を優先 ↓ NO Q2. 夜間に痛みで目が覚める(夜間痛) → YES → 即受診を優先 ↓ NO Q3. 現在のNRSは4以上か → YES → 急性期(非荷重トレのみ) ↓ NO Q4. 歩くときに足を引きずることがあるか → YES → 慢性安定期(荷重は最小限から) ↓ NO Q5. 日常生活でNRS1以下をほぼ維持できているか→ YES → 改善期(段階的に負荷UP可) ↓ NO → 慢性安定期
フェーズNRS目安日常生活の状態トレーニング方針
急性期4以上歩行・座位でも痛みが出る非荷重種目のみ
慢性安定期1〜3動き方次第で痛みが出る荷重再開・可動域90°以内
改善期0〜1ほぼ日常生活に支障なし段階的負荷UP・可動域拡張

受診すべきサイン:筋トレの前に整形外科を受診してほしいケース

🚨 以下に該当する場合は、トレーニング前に必ず整形外科への受診を優先してください:
・安静時・夜間に痛みがある
・3週間以上、歩くときに足を引きずる状態が続いている
・股関節の可動域が急激に低下した(1〜2週間で明らかに動かしにくくなった)
・股関節周囲の熱感・腫脹がある
・転倒・衝突などの外傷後に痛みが始まった

02 JOINT LOAD MECHANISMS股関節に負担をかける構造:なぜ筋トレで痛みが出るのか

股関節の関節負荷を決める3つの要因

股関節にかかる力は、①体重、②姿勢・動作の質(力学的効率)、③周囲筋の筋力バランスの3要因で決まります。筋力が低下するほど股関節への負担は増大し、変形の進行を加速させることがわかっています。

要因メカニズム対策
①体重歩行1歩あたり体重の約3〜5倍の力がかかる。1kg増加で1歩あたり4〜6kg増加月1kg以内の緩やかな減量
②姿勢・動作の質骨盤が外側に傾く(トレンデレンブルグ徴候)と接触圧が急増中殿筋強化による骨盤安定
③筋力バランス中殿筋が弱いと軟骨に偏荷重。大腿四頭筋が弱いと衝撃吸収能力が低下優先的な筋力強化(SEC04参照)

体重別・動作別 関節負荷目安早見表(股関節にかかる力)

動作50kg60kg70kg80kg90kg
歩行(1歩)約150〜250kg約180〜300kg約210〜350kg約240〜400kg約270〜450kg
階段昇降約200〜300kg約240〜360kg約280〜420kg約320〜480kg約360〜540kg
浅めスクワット(〜60°)約150〜200kg約180〜240kg約210〜280kg約240〜320kg約270〜360kg
フルスクワット(〜90°超)約250〜400kg約300〜480kg約350〜560kg約400〜640kg約450〜720kg
ランニング約350〜500kg約420〜600kg約490〜700kg約560〜800kg約630〜900kg

※数値は参考目安です。個人の体型・フォームによって変動します。

膝・腰を守りながら続けるトレーニングの基本

変形性股関節症で筋トレが有効な科学的根拠

現在の運動療法研究では、適切な運動は変形性股関節症の疼痛・機能・QOLを改善する最も推奨度の高い非手術的介入とされています。中殿筋・大腿四頭筋を強化することで、歩行時の股関節接触圧が最大25〜30%低下することが複数の研究で示されています(Bennell, 2013 / PMID:23896330)。「動かさない」は短期的に痛みを避けているように見えて、中長期的に状態を悪化させます。

股関節の可動域と年代別の変化

年代主因特に弱化しやすい筋肉優先度の高いアプローチ
30〜40代FAI・外傷・姿勢深部外旋筋・腸腰筋モビリティ改善・スタンス調整
40〜50代筋力低下開始中殿筋・大腿四頭筋筋力維持トレ週2〜3回
50〜60代軟骨変性・拘縮全周囲筋全般ウォームアップ必須・非荷重から

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03 PHASE-BASED EXERCISE SELECTIONフェーズ別:やってよい種目・NGの判断基準

急性期(NRS4以上):非荷重トレのみ

急性期の目標は「筋萎縮を防ぐこと」です。荷重をかけない範囲で動かし続けることが重要です。

種目名部位回数目安注意点
クラムシェル(側臥位)中殿筋・深部外旋筋15〜20回×2セット骨盤が後傾しないように
ヒップアブダクション(側臥位)中殿筋・大腿筋膜張筋15〜20回×2セット脚を上げすぎない(30°以内)
アイソメトリック大腿四頭筋大腿四頭筋5秒保持×10回×2セット膝下にタオルを置いて軽く押す
アンクルポンプふくらはぎ・血液循環30回×3セット深部静脈血栓予防にも有効
腹横筋ドローイン(仰臥位)腹横筋・骨盤底筋5秒保持×10回×2セット股関節に力が入らないよう注意
NG種目NG理由
スクワット・ランジ系全般体重+負荷が股関節に直撃。片足荷重で関節圧が倍増
デッドリフト・ルーマニアンDLヒップヒンジで股関節前面に圧縮力
レッグプレス機械でも屈曲荷重は同じ
ランニング・ジャンプ衝撃荷重で炎症が拡大
スクワット時に膝が痛む原因と対処法

慢性安定期(NRS3以下):荷重再開の条件と基準

荷重再開の3条件(すべて満たしてから)

① NRSが3以下で安定して2週間以上継続している
② 股関節の可動域左右差が20°以内(例:健側100°に対して患側80°以上)
③ 歩行時に跛行(足を引きずる動作)がない

体重浅めスクワットレッグプレス最大重量チューブ抵抗
50kg自重で10〜15回から20〜25kg軽〜中
60kg自重で10〜15回から25〜30kg軽〜中
70kg自重で10〜12回から30〜35kg
80kg自重で8〜10回から35〜40kg
90kg自重で8〜10回から40〜45kg中〜強
股関節屈曲は90°以内。痛みが出たら即中止してください。

改善期(NRS1以下):負荷を上げるための段階設計

慢性安定期:〜90°(浅めスクワット・低角度レッグプレス)
  ↓ 痛みゼロ2週間継続
改善期Week1〜2:〜90°(負荷を5〜10%増加)
  ↓
改善期Week3〜4:〜100°(可動域を段階的に拡張)
  ↓
改善期Week5〜6:〜110°(種目数・セット数を増加)
  ↓
改善期Week7〜8:フルレンジ再評価(NRS0を確認しながら)
プログレッション判断の3ルール(共通)

① 痛みゼロが2週間続いたら次のステップへ進む
② トレーニング中・翌日朝のNRSが2以上になったら即1ステップ戻す
③ 当日NRS0でも翌日朝に痛みが増している場合は過負荷サイン→負荷を下げる

04 OA-SPECIFIC EXERCISE DESIGN変形性股関節症に特化した種目設計

最優先で鍛えるべき3筋肉とその理由

筋肉重要な理由弱化した場合の影響
①中殿筋股関節外転と歩行時の骨盤安定を担う最重要筋。強化で股関節接触圧を有意に低下トレンデレンブルグ歩行→患側股関節の内側に過大な圧縮力
②腸腰筋股関節屈曲の主役・骨盤の前後傾を制御。柔軟性と強化の両方が必要短縮・拘縮→骨盤前傾→股関節前面のインピンジメント悪化
③大腿四頭筋着地・歩行時の衝撃吸収を担う。OA患者では健常者の60〜70%程度まで低下していることが多い衝撃が股関節に直接伝わり変形を加速

推奨種目6選(やり方・ポイント・効いているか確認法)

① クラムシェル(中殿筋・急性期〜全フェーズ対応)

やり方:側臥位で膝を90°に曲げ、かかとをつけたまま上側の膝だけを天井方向に開く
フォームポイント:骨盤が後傾(後ろに倒れる)しないように体幹を固定する。チューブを膝上に巻くと負荷増加可
回数目安:15〜20回×3セット・左右
効いているか:臀部の外側・中央部(中殿筋の位置)に張りを感じていればOK。腰や大腿外側の張りが強い場合は骨盤が動いているサイン

② サイドライイング・ヒップアブダクション

やり方:側臥位で体を一直線に保ち、上側の脚を約30°まで持ち上げてゆっくり下ろす
フォームポイント:脚を前後に流さない(真横〜わずかに後方に上げる)。つま先を天井に向けると中殿筋への刺激が強まる
回数目安:15〜20回×3セット・左右
効いているか:臀部の外側上方(中殿筋の上部)に張りを感じればOK

③ グルートブリッジ(殿筋群・体幹連動)

やり方:仰臥位で膝を立て、足裏全体で床を押しながら骨盤を持ち上げ、肩〜膝が一直線になる高さで2〜3秒保持
フォームポイント:腰を過度に反らない(腰椎過伸展はNG)。膝が内側に入りやすい方はチューブを膝上に巻く
回数目安:12〜15回×3セット
効いているか:殿筋全体に強い収縮感があればOK。ハムストリングスしか使えていない場合は足の位置を骨盤に近づける

④ 浅めスクワット(大腿四頭筋・殿筋群・60〜90°)

やり方:足を肩幅〜やや広めに開き、つま先を外側15〜30°に向ける。股関節屈曲60〜90°(痛みが出ない範囲)で止め、ゆっくり戻る
フォームポイント:膝をつま先の方向に追従させる。重心がかかとに乗るように
回数目安:10〜15回×3セット(慢性安定期は自重のみ)
効いているか:大腿前面と殿部に同時に張りを感じればOK。股関節の奥に詰まり感がある場合は即中止してスタンス調整

⑤ チューブ・サイドウォーク(中殿筋・立位機能強化)

やり方:チューブを両足首もしくは膝上に巻き、軽くスクワット姿勢をとって横方向にゆっくりステップする
フォームポイント:体の上下動を最小限に。股関節・膝・足首を曲げたまま動くことで中殿筋に常に張力をかけ続ける
回数目安:左右各10〜15歩×3セット
効いているか:股関節の外側〜臀部外側に強い張りを感じればOK

⑥ ウォーキング・ランジ(改善期のみ・前傾注意)

やり方:一歩踏み出し、前膝が90°になるまで腰を落とす(股関節屈曲は90°以内を維持)
フォームポイント:踏み込んだ時に股関節の前面に詰まり感がある場合はステップを短くする
回数目安:左右各8〜12回×3セット
効いているか:大腿四頭筋・殿部に張りを感じればOK。改善期に入り、NRS1以下が2週間継続してから導入する

スクワット以外で下半身を鍛える代替種目一覧

変形性股関節症でのNG種目と代替早見表

NG種目NG理由代替種目
フルスクワット(90°超)深い屈曲で接触圧が急増・軟骨に集中荷重浅めスクワット(60〜90°)・レッグプレス(低角度)
深いランジ(大きく踏み込む)前方荷重で股関節前面に圧縮力・インピンジメント促進ショートランジ・サイドステップ
ヒップスラスト(高重量)骨盤後傾の強制が変形部に集中グルートブリッジ(自重〜軽量)
ランニング・ジャンプ動作衝撃荷重が繰り返し軟骨変性を加速水中ウォーキング・エアロバイク
レッグプレス(深い角度)屈曲90°超で関節接触圧が急増レッグプレス(浅い角度・60〜80°)
内転筋マシン(強い内転)内転動作が変形部への集中圧縮を招くクラムシェル・外転方向のトレーニング優先

05 FAI MANAGEMENTFAI(大腿寛骨臼インピンジメント)の対応:30〜40代向け

FAIのメカニズム:なぜスクワットで「詰まり感」が出るのか

FAIは股関節の骨形態異常(大腿骨頭の形状異常=Cam型、臼蓋の過被覆=Pincer型、またはその両方=Mixed型)により、特定の動作で骨同士が衝突する状態です。Cam型は屈曲時に臼蓋の縁に衝突し、スクワット・デッドリフトの深い屈曲で「詰まり感」として現れます。衝突が繰り返されると関節唇が損傷し、放置すると変形性股関節症への進行リスクが高まります。

40代が安全にデッドリフトを続けるための設計

FAI保有者の種目調整:スタンス幅・つま先角度で回避する

調整項目標準FAI向け調整理由
スタンス幅肩幅肩幅の1.2〜1.5倍(ワイド)外旋方向への逃げが生まれる
つま先の向き正面〜15°外向き30〜45°インピンジメントポジションを回避
深さフルボトム股関節屈曲90°以内深くなるほどCam/Pincer型の衝突リスク増大
「詰まり感」が出たときのその場調整:
① スタンスを5〜10cm広げる→外旋方向の逃げが増え、詰まりが消えることが多い
② つま先をさらに5〜10°外に向ける→外旋強度が増しインピンジメントポジションが変わる
③ 上記2つを試しても消えない場合→その種目をレッグプレス・チューブ種目に切り替える

06 4-WEEK PROGRESSION PROGRAM4週間プログレッション:フェーズ別スタートプログラム

慢性安定期スタート版(Week1〜4)

NRS3以下が2週間継続・荷重再開3条件をクリアした方向けです。実施頻度:週2〜3回・各セッション30〜40分。

Weekメイン種目補助種目セット×回数強度目安
Week1クラムシェル・グルートブリッジアンクルポンプ・ドローイン2×15NRS0を維持。翌日NRS2以上なら負荷を下げる
Week2サイドウォーク(チューブ軽)追加Week1種目を継続3×12NRS0〜1。チューブは最も軽いものから
Week3浅めスクワット(60°・自重)導入サイドウォーク・グルートブリッジ継続3×10NRS1以下。スクワット後に詰まり感があれば中止
Week4浅めスクワット(75°・自重)・レッグプレス(低角度・軽重量)追加上記継続3×10NRS1以下。翌日の確認を必ず行う
Week1の1セッション例(約30分)

1. ウォームアップ(10分)
 ・アンクルポンプ 30回×2セット
 ・腹横筋ドローイン(仰臥位)5秒×10回×2セット
 ・股関節モビリティ(仰臥位・膝を立てた状態でゆっくり左右に倒す)10回
2. メイン種目(15分)
 ・クラムシェル 15回×2セット(左右)
 ・グルートブリッジ 15回×2セット
3. クールダウン(5分)
 ・腸腰筋ストレッチ(片膝立ち・体幹垂直)30秒×左右
 ・梨状筋ストレッチ(仰臥位フィギュア4)30秒×左右

60代の転倒予防につながる筋トレプログラム

改善期スタート版(Week1〜4)

NRS1以下が2週間以上継続・日常生活にほぼ支障がない状態の方向けです。実施頻度:週2〜3回・各セッション40〜50分。

Weekメイン種目可動域目標セット×回数強度目安
Week1浅めスクワット・グルートブリッジ・チューブサイドウォーク屈曲〜90°3×12NRS0維持・フォームの安定を最優先
Week2ショートランジ(自重)追加屈曲〜90°3×10NRS0〜1。ランジ時の詰まり感を確認
Week3スクワット可動域拡張・クラムシェル(チューブ追加)屈曲〜100°3×12NRS1以下。可動域拡張は痛みがない範囲で
Week4セット数・種目数を増加・レッグプレス(角度を徐々に拡大)屈曲〜110°4×10NRS1以下。翌日確認を習慣化
改善期 Week3の1セッション例(約45分)

1. ウォームアップ(10分)
 ・股関節モビリティドリル(90/90ストレッチ)1分×左右
 ・グルートブリッジ(ウォームアップ用・軽め)10回×2セット
 ・ウォーキング(軽め・5分)またはバイク(軽負荷・5分)
2. メイン種目(30分)
 ・浅めスクワット(〜100°)3×12
 ・グルートブリッジ(チューブあり)3×12
 ・クラムシェル(チューブ・中強度)3×12(左右)
 ・ショートランジ(自重)3×10(左右)
 ・チューブサイドウォーク 3×15歩(左右)
3. クールダウン(5分)
 ・腸腰筋ストレッチ 30秒×左右
 ・梨状筋ストレッチ 30秒×左右
 ・大腿四頭筋ストレッチ 30秒×左右

07 DAILY LIFE INTEGRATION日常動作との連携:トレーニング以外で股関節を守る習慣

股関節に優しい歩き方・立ち方の3ポイント

ポイント実践方法理由
①つま先の方向を正す正面〜わずかに外向き(5〜10°)で歩く内股歩きは股関節の内旋を強制し変形を悪化させる
②骨盤の左右傾斜を減らす「頭を水平に保って歩く」イメージで体幹を安定させるトレンデレンブルグ歩行は中殿筋弱化のサイン。接触圧が下がる
③歩幅は痛みが出ない自然な範囲で無理に広げない。筋力が上がれば自然に広がる過度な伸展は変形性股関節症の詰まり感を増す
40代から骨密度を守るためのトレーニング

座り方・靴選びが股関節に与える影響

座り方:ソファや低い椅子に深く腰掛けると股関節屈曲90°を超え、変形性股関節症・FAIのどちらにも接触圧・インピンジメントリスクが高まります。推奨は座面高40〜45cm・硬めで高さを調整できる椅子です。

靴選び:かかとが高い靴は骨盤を前傾させ股関節前面の接触圧を高めます。かかと高さ2cm以内・ソールのクッション性が高いウォーキングシューズが推奨です。

体重1kgの減量で股関節負荷は何kg減るか

歩行時、股関節には体重の約3〜5倍の力がかかります。体重が1kg減少すると、歩行1歩あたりの股関節負荷は理論上3〜5kg軽減されます。1日の歩行数が5,000歩であれば、体重1kgの減量で1日あたり約15,000〜25,000kgの累積負荷削減になる計算です。

現在の体重減量1kgで1歩あたりの負荷軽減1日5,000歩での累積軽減
60kg約3〜5kg約15,000〜25,000kg
70kg約3〜5kg約15,000〜25,000kg
80kg約3〜5kg約15,000〜25,000kg
90kg約3〜5kg約15,000〜25,000kg
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よくある質問

変形性股関節症でも筋トレをして進行を悪化させませんか?
適切な範囲内でのトレーニングは変形を悪化させません。複数の大規模研究(Cochrane Reviewを含む)で、運動療法は変形性股関節症の疼痛・機能・QOLを改善する最も推奨度の高い非手術的介入として位置づけられています。問題は「無制限の高負荷・深い可動域でのトレーニング」であり、この記事で解説したフェーズ別の設計範囲内であれば進行を加速させるリスクは低いと考えられています。夜間痛・安静時痛がある急性期は例外で、必ず整形外科を受診してください。
人工股関節置換術後に筋トレは再開できますか?
術後のリハビリが完了し、担当医から許可が出た後であれば、段階的な筋トレ再開が推奨されています。一般的に術後3〜6ヶ月以降が目安とされますが、使用したインプラントの種類・手術アプローチ(前方・後方)によって制限が異なります。特に後方アプローチの場合は術後一定期間、深い股関節屈曲・内旋・内転の組み合わせが禁忌になることが多いため、必ず主治医に確認してから再開してください。(免責:本記事は医療アドバイスではありません)
股関節の痛みに効くサプリはありますか?
グルコサミン・コンドロイチン・コラーゲンペプチドは軟骨の構成成分であり、継続的な摂取で疼痛の軽減・軟骨代謝のサポートが期待できます。ただし即効性はなく効果の程度には個人差があります。オメガ3系脂肪酸(EPA・DHA)は関節の炎症反応を軽減する根拠が一部あります。これらはあくまで補助的な位置づけです。
プロテインを飲んでも股関節の痛みに影響はありませんか?
通常の推奨量(体重×1.6〜2.0g/日)のタンパク質摂取が股関節の痛みを悪化させる根拠はありません。むしろ筋タンパク合成を促進することで関節周囲の筋力維持・回復に貢献します。腎機能に問題がなければプロテインの使用は問題ありません。ただし、腎臓や肝臓に持病がある場合は医師に相談してから使用量を決めてください。
片側だけ股関節が痛い場合、反対側も同じ制限で動かすべきですか?
痛みのない側は通常の可動域・強度でトレーニングして問題ありません。ただし患側の筋力・可動域の低下が著しい場合、健側が過剰に代償動作を行い健側への二次的な負担が増えることがあります。左右の筋力バランスを定期的に確認しながら、患側の回復に合わせて進めてください。

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この記事は、筋トレの本場ロサンゼルスで15年の指導経験を持ち、NABBA 2025 GPF優勝・LA Championship 2位・NESTA-PFT/SFT取得のトレーナーが、調布市のパーソナルジムTHE FITNESSで執筆しています。
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まとめ|「股関節が痛いからやめる」ではなく「どう設計して続けるか」

「股関節が痛いからトレーニングをやめる」は、長期的には股関節の状態をさらに悪化させる選択です。重要なのは「やめる・やる」の二択ではなく、「どう設計して続けるか」です。

まず自分の病態(変形性/FAI/滑液包炎)とフェーズ(急性期/慢性安定期/改善期)を確認し、それぞれの基準内でトレーニングを設計することが大前提です。変形性股関節症であれば中殿筋・腸腰筋・大腿四頭筋の3筋を優先的に強化することで関節接触圧を25〜30%軽減できます。FAIであればワイドスタンス・つま先外向き・屈曲90°以内の調整でインピンジメントポジションを回避しながら継続できます。

今日からできる3アクション:

  • ① SEC01のNRS判定フローで今日の自分のフェーズを確認する
  • ② フェーズに合った今日できる種目を1種目だけ選んでやってみる
  • ③ 日常の歩き方・座り方のポイント(SEC07)を今日から1つだけ変える
  • 運動療法は変形性股関節症の疼痛・機能・QOLを改善する最も推奨度の高い非手術的介入(Fransen et al., 2014 / PMID:24756895)
  • 中殿筋・大腿四頭筋の強化で股関節接触圧を最大25〜30%低下(Bennell, 2013 / PMID:23896330)
  • 腹横筋の活性化と体幹安定性——ドローインが安全な体幹種目として股関節保護に有効(Hodges & Richardson, 1996 / PMID:8961451)

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最寄り駅京王線 国領駅 徒歩8分
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電話070-1460-0990
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参考文献・科学的根拠

  1. 1Fransen M, McConnell S, Hernandez-Molina G, Reichenbach S. “Exercise for osteoarthritis of the hip.” Cochrane Database Syst Rev. 2014 Apr 22;2014(4):CD007912. doi:10.1002/14651858.CD007912.pub2. 9件のRCT・549名を対象としたコクランシステマティックレビュー。運動療法(有酸素・筋力強化・水中運動)が変形性股関節症の疼痛・機能・QOLを改善することを示す。「最も推奨度の高い非手術的介入」の根拠として引用。 PMID:24756895
  2. 2Bennell KL. “Physiotherapy management of hip osteoarthritis.” J Physiother. 2013 Sep;59(3):145-57. doi:10.1016/S1836-9553(13)70179-6. 変形性股関節症の理学療法管理に関する総説。中殿筋・大腿四頭筋の筋力強化による股関節接触圧の軽減(最大25〜30%)・歩行機能改善の根拠をまとめた。優先的に強化すべき3筋肉の科学的根拠として引用。 PMID:23896330
  3. 3Hodges PW, Richardson CA. “Inefficient muscular stabilization of the lumbar spine associated with low back pain: a motor control evaluation of transversus abdominis.” Spine (Phila Pa 1976). 1996 Nov 15;21(22):2640-50. doi:10.1097/00007632-199611150-00014. 腹横筋の先行収縮が腰椎・骨盤安定性に関与することを示した研究。ドローインが股関節周囲の間接的な安定化に貢献する安全な体幹種目である根拠として引用。 PMID:8961451