日本人の筋肉量・体組成データ完全まとめ|年代別BMI・腹囲・サルコペニア診断基準・加齢変化の全体像をトレーナーが整理

日本人の筋肉量・体組成データ

目次

日本人の筋肉量・体組成データ完全まとめ|年代別BMI・腹囲・サルコペニア診断基準・加齢変化の全体像をトレーナーが整理
MUSCLE MASS & BODY COMPOSITION DATA — BMI · WAIST · SMI · SARCOPENIA · AGING · PRIMARY STATISTICS

日本人の筋肉量・体組成データ完全まとめ|
年代別BMI・腹囲・サルコペニア診断基準・加齢変化の全体像

📅 2026年6月公開 ✍ Yukkey(NESTA-PFT/SFT・NABBA GPF 2025優勝・18年指導経験) 📍 調布市パーソナルジム THE FITNESS
💪
厚生労働省「国民健康・栄養調査」・国立長寿医療研究センター「NILS-LSA」・日本サルコペニア・フレイル学会「サルコペニア診療ガイドライン2020年版」など、複数の公的調査・学会ガイドラインに分散するデータを一か所に整理。研究・報道・介護予防・医療職・フィットネス指導の現場で引用・活用できる構成です。
📌 この記事でわかること
体組成を正確に読むための定義と計測方法
BMI・体脂肪率・SMI・腹囲・除脂肪体重の定義・計測方法・注意点を整理
年代別BMI・腹囲・肥満者割合(厚労省一次統計)
令和4年国民健康・栄養調査の実数値・メタボ基準値・20代女性のやせ問題
サルコペニアの診断基準(AWGS2019)と有病率
SMI・握力・歩行速度のカットオフ値・診断フロー・有病率の概況
加齢による筋肉量低下と体組成改善の根拠
NILS-LSA縦断データ・何歳からでも変えられるメタアナリシスの数値

「自分の筋肉量は平均と比べてどうなのか」「40代から筋肉はどのくらい落ちるのか」——この問いに対して、公的機関が集計した数値で正確に答えられる記事は意外と少ないです。この記事では、厚労省・国立長寿医療研究センター・日本サルコペニア・フレイル学会の一次統計・診断基準を一か所に整理し、「どこを見ればどのデータが取得できるか」まで案内しています。

QUICK ANSWER:日本人の筋肉量・体組成の現状
・肥満者(BMI≧25)割合:男性30.3%・女性21.1%(令和4年国民健康・栄養調査)
・腹囲基準値:男性85cm以上・女性90cm以上でメタボ判定の必須条件
・サルコペニア診断基準(SMI):男性7.0 kg/m²未満・女性5.7 kg/m²未満(AWGS2019)
・加齢による筋肉量低下:30代後半〜40代前半から開始、60代以降で加速(NILS-LSA等)
・サルコペニア有病率:地域在住高齢者(65歳以上)で約10〜20%台

SEC01 DEFINITIONS & MEASUREMENT「筋肉量」「体組成」「BMI」——データを正確に読むための定義と計測方法

なぜ「体重だけ」では不十分なのか

体重計が示す数値は、筋肉・脂肪・骨・水分・内臓をすべて合計した値です。同じ体重70kgでも、体脂肪率18%の人と体脂肪率32%の人では、代謝・外見・健康リスクはまったく異なります。指導現場で「体重は変わらないのに体型が変わった」というクライアントを多く見てきました——これは「筋肉量が増えて脂肪が減った」という体組成の変化が起きているためです。

体組成を構成する主要指標の定義

指標定義主な計測方法特徴・注意点
BMI(体格指数)体重(kg)÷身長(m)²身長・体重のみ簡便で広く普及。筋肉量と脂肪量の区別不可。筋肉質な人が「肥満」判定される場合あり
体脂肪率(%)体重に占める脂肪の割合BIA法・DXA法家庭用体組成計で測定可能。水分量・食事・時間帯で変動しやすい
骨格筋量指数(SMI)四肢骨格筋量(kg)÷身長(m)²DXA法・BIA法サルコペニア診断の主要指標。性別・計測方法による基準値の違いに注意
四肢骨格筋量(ASM)両腕+両脚の筋肉量(kg)DXA法・BIA法SMIの分子。低下するとサルコペニアリスク上昇
腹囲(cm)へそ周りの周径メジャー計測内臓脂肪の簡易指標。メタボリックシンドロームの必須判定基準
除脂肪体重(LBM)体重から脂肪量を除いた重量(kg)体組成計・DXA法筋肉量変化の追跡に有用。筋肉以外(骨・水分)も含まれる点に注意

国民健康・栄養調査で計測される指標

調査年主な収録データ一次出典
令和6年(2024年)BMI・腹囲・血圧・血液検査値(年代別・性別)p101〜148(第2部 身体状況調査)厚労省・令和6年調査
令和4年(2022年)同上 p103〜158(第2部 身体状況調査)厚労省・令和4年調査
出典:厚労省「令和4年・令和6年 国民健康・栄養調査報告」
生活習慣病・肥満の統計データ完全まとめ

SEC02 BMI & WAIST CIRCUMFERENCE年代別BMI・腹囲・肥満者割合の実態データ(厚労省・国民健康・栄養調査)

肥満者(BMI≧25)の割合——令和4年調査

男性(20歳以上)
30.3%
約3人に1人が肥満(BMI≧25)
女性(20歳以上)
21.1%
約5人に1人が肥満(BMI≧25)

年代別の傾向(令和4年調査・概要)

年代男性の傾向女性の傾向
20〜29歳比較的低い比較的低い(やせの割合が高い年代)
30〜39歳増加し始める比較的低い
40〜49歳高水準(ピーク付近)緩やかに増加
50〜59歳高水準が続く更年期前後から増加
60〜69歳やや低下高水準となる
70歳以上低下傾向引き続き高水準
※年代別の詳細実数値は「令和4年国民健康・栄養調査報告 第2部 身体状況調査の結果」(p103〜158)に掲載されています。

やせ(BMI<18.5)の問題——特に20代女性

令和4年調査でも若年女性のやせ(BMI18.5未満)は約20%前後という高水準が続いており、健康日本21(第三次)でも「若年女性のやせの減少」が数値目標として設定されています。筋肉量の観点では「やせ」≠「筋肉量が多い」です。低体重でも筋肉量が極端に少ない「隠れ肥満」のリスクがあります。

腹囲の基準値とメタボリックシンドローム

男性
85cm以上
内臓脂肪面積≒100cm²
に相当するとされる
女性
90cm以上
皮下脂肪蓄積パターンの
性差により高い基準値
メタボリックシンドロームは「腹囲基準値以上+血糖・血圧・脂質の異常のうち2項目以上」で診断されます。厚労省の特定健診データに基づくと、該当者と予備群を合わせると約1,620万人(特定健診対象者ベース)に達します。
出典:厚労省「令和4年国民健康・栄養調査報告」・厚労省「特定健康診査・特定保健指導の実施状況」
ダイエット・健康食品市場の統計データ

SEC03 AGE-RELATED MUSCLE LOSS加齢による筋肉量低下の実態——縦断研究が明らかにした「いつから・どのくらい減るか」

横断研究と縦断研究の違い——なぜ縦断研究が重要か

研究デザイン方法限界
横断研究異なる年代の人を同時期に比較世代効果(コーホート効果)が混入する。「若い世代が元々筋肉量が多い」可能性を排除できない
縦断研究同じ人を長年追跡して変化を計測加齢による変化を直接測定できる。より信頼性が高い

NILS-LSAが示す筋肉量の加齢変化

国立長寿医療研究センター
老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)
項目内容
開始年1997年11月
対象愛知県大府市・東浦町の40〜79歳住民(無作為抽出)。DXA法による精密体組成計測を含む
特徴医学・心理・運動・身体組成・栄養など多領域を同一対象者で長期追跡
一次出典https://www.ncgg.go.jp/ri/lab/cgss/department/ep/
PHASE 1
30代後半〜
40代前半
📉 緩やかな低下が始まる
下肢(大腿四頭筋)から顕著になりやすい
低下速度:低
PHASE 2
40代後半〜
50代
📉📉 低下速度が加速
下肢全体・体幹筋に広がる
低下速度:中
PHASE 3
60代〜
📉📉📉 顕著に加速
下肢・上肢・全身に拡大
低下速度:高
PHASE 4
70代以降
⚠️ 急速な低下リスク
全身・速筋繊維(タイプⅡ)の萎縮が顕著。サルコペニア発症リスク急上昇
低下速度:急速
年間低下速度の目安として、複数の研究で「年間0.5〜1.0%程度」が報告されていますが、対象集団・計測方法・年齢層によって幅があります。この数値を使用する際は出典研究の条件を確認してください。

「筋肉量が落ちているのに体重が変わらない」理由

加齢に伴い筋肉量(除脂肪体重)が低下する一方で、脂肪量が増加することで体重が変わらない状態——「サルコペニア肥満」と呼ばれる状態が生じます。体重計だけで健康管理をしていると、この変化を見逃しやすく、特に40〜60代では体重より体脂肪率・骨格筋量の変化を定期的に確認することが重要です。
出典:国立長寿医療研究センター「NILS-LSA」https://www.ncgg.go.jp/ri/lab/cgss/department/ep/
1年間で筋肉量はどれくらい増えるか

SEC04 SARCOPENIA CRITERIAサルコペニアの定義・診断基準・有病率——引用に使える数値データ

サルコペニアとは

サルコペニア(Sarcopenia)は、加齢に伴う骨格筋量の低下と筋力・身体機能の低下を特徴とする症候群です。1989年にRosenbergが提唱し、現在はアジア人向けのAWGS2019基準が日本で広く用いられています。

日本の診断基準(AWGS2019)

AWGS2019 DIAGNOSTIC CRITERIA ── サルコペニア診断基準
① 骨格筋量(SMI)
男性
7.0 kg/m²未満
女性
5.7 kg/m²未満
DXA法・BIA法
② 筋力(握力)
男性
28kg未満
女性
18kg未満
握力計測
③ 身体機能
歩行速度
1.0 m/秒未満
椅子立ち上がり(5回)
12秒以上
SPPB
9点以下
DIAGNOSIS FLOW ── 診断フロー
① SMI低下
②筋力低下 or ③身体機能低下
サルコペニア診断
※①のみ該当の場合は「サルコペニア」と診断されない。①+②または③の両方を満たすことが必要。
診断フロー:①骨格筋量低下+(②筋力低下 or ③身体機能低下)の両方を満たすことでサルコペニアと診断されます。骨格筋量が低下していても筋力・機能が保たれている場合は「サルコペニア」と診断されません。

サルコペニア有病率の概況

有病率は用いる診断基準・対象集団・計測方法によって大きく異なるため、「何%」という単一の数値では語れません。引用する際は必ず対象研究の診断基準・対象集団・計測方法を明示してください。
対象集団報告されている有病率の範囲備考
地域在住高齢者(65歳以上)約10〜20%台診断基準・計測方法により差異あり
前期高齢者(65〜74歳)約5〜15%台後期高齢者より低い傾向
後期高齢者(75歳以上)約20〜30%台前期より有意に高い
入院患者・施設入居者地域在住者より高い50%を超える報告もあり
出典:日本サルコペニア・フレイル学会「サルコペニア診療ガイドライン2020年版」・Chen LK, et al. AWGS2019. J Am Med Dir Assoc. 2020;21(3):300-307.
40代から始める骨密度対策と筋トレの根拠

SEC05 FRAILTY & LOCOMOフレイル・ロコモとの関係——政策・介護予防との数値接続

3概念の整理

概念主な定義機関核となる指標政策との接続
サルコペニア日本サルコペニア・フレイル学会(AWGS2019)SMI・握力・歩行速度介護予防・健康寿命延伸
フレイル日本老年医学会(Fried基準・改訂版)体重減少・疲弊感・活動量低下・歩行速度・握力の5項目介護予防・後期高齢者医療
ロコモティブシンドローム日本整形外科学会立ち上がりテスト・2ステップテスト・ロコモ25運動器疾患予防・骨粗鬆症対策

政策数値との接続

政策関連数値・目標出典
健康日本21(第三次)2024〜2035年度運動習慣者割合の増加・若年女性のやせ減少・65歳以上の低栄養傾向者の減少など厚労省
第3期スポーツ基本計画(2022〜2026年度)成人の週1回以上スポーツ実施率70%目標・スポーツ産業市場規模15兆円目標スポーツ庁
介護保険給付費2023年度約13兆円厚労省「介護保険事業状況報告」
サルコペニア・フレイルの予防による要介護者数の抑制は、介護保険財政の持続可能性という観点から国家的課題として位置づけられています。
出典:厚労省「健康日本21(第三次)」・スポーツ庁「第3期スポーツ基本計画」・厚労省「介護保険事業状況報告」
健康診断で要注意になった方の運動処方

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SEC06 EVIDENCE FOR IMPROVEMENT年代別・性別の体組成改善期待値——研究が示す「何歳からでも変えられる」根拠

高齢者における筋トレ効果:メタアナリシスの示す数値

対象介入内容主な効果(研究概況)
65歳以上の地域在住高齢者週2〜3回・8〜12週間の筋力トレーニング四肢骨格筋量の有意な増加・握力・歩行速度の改善が複数研究で確認
60〜75歳男性12〜24週間の漸進的抵抗運動筋肥大(筋繊維断面積の増加)が組織学的にも確認されている
サルコペニア診断を受けた高齢者抵抗運動+タンパク質補充の複合介入骨格筋量・歩行速度・椅子立ち上がりパフォーマンスの改善

年代別に異なる「体組成改善の注意点」

🌱
PHASE 1 — 先行投資期
30代
📋 特有の課題:低下はまだ軽微だが習慣形成の絶好期。今の投資が60代を守る。
✅ 推奨アプローチ:週2〜3回の筋トレ習慣化。タンパク質摂取の最適化(体重×1.2g以上/日)。
PHASE 2 — 重要期
40代
📋 特有の課題:テストステロン・成長ホルモンの低下開始。筋肉量低下加速前の最重要期。
✅ 推奨アプローチ:漸進的過負荷の筋トレ。体組成計で定期的にSMIを確認する。
⚠️
PHASE 3 — 要注意期
50代
📋 特有の課題:女性は閉経後のエストロゲン低下で骨密度・筋肉量が急落しやすい。
✅ 推奨アプローチ:下肢中心の荷重運動。カルシウム・タンパク質・ビタミンDの確保。
🛡️
PHASE 4 — 維持・防衛期
60代以上
📋 特有の課題:転倒→骨折→要介護の連鎖を防ぐことが最優先。フレイルとの重複リスク。
✅ 推奨アプローチ:週2回以上の筋力訓練。小食化に対するタンパク質密度の工夫(1食20〜40g目標)。

タンパク質摂取量の推奨値(年代別)

対象推奨量の目安根拠
一般成人体重1kgあたり0.8〜1.0g/日厚労省「日本人の食事摂取基準」
筋トレ実施者(全年代)体重1kgあたり1.2〜2.0g/日ACSM・ISSN等のスポーツ栄養ガイドライン
65歳以上の高齢者体重1kgあたり1.0〜1.2g/日以上日本老年医学会・フレイル予防ガイドライン
サルコペニア予防・改善体重1kgあたり1.2g/日以上+ロイシン強化日本サルコペニア・フレイル学会
1食あたり20〜40gのタンパク質を目安に摂取することで筋タンパク質合成が最大化されるとされています(特に運動後30〜60分以内の摂取が有効)。
出典:厚労省「日本人の食事摂取基準2020年版」・ACSM Position Stand・日本老年医学会フレイルガイド
パーソナルトレーナー業界の統計データ 60代男性の体重管理・体組成改善ガイド

SEC07 DATA SOURCE MAP一次出典マップ——「どのデータをどこで取得するか」完全案内

データ種別×引用目的別の統計活用マップ

調べたいデータ参照機関・統計名URL
年代別BMI・腹囲の実測値厚労省「国民健康・栄養調査」第2部令和6年調査報告書
加齢による体組成・筋肉量の縦断変化国立長寿医療研究センター「NILS-LSA」NILS-LSA公式
サルコペニアの診断基準日本サルコペニア・フレイル学会「サルコペニア診療ガイドライン2020年版」・AWGS2019学会公式・論文(Chen LK, et al., J Am Med Dir Assoc, 2020)
フレイルの定義・診断基準日本老年医学会「フレイル診療ガイド2018年版」学会公式
ロコモティブシンドロームの評価基準日本整形外科学会https://locomo-joa.jp/
特定健診・メタボ該当者数厚労省「特定健康診査・特定保健指導の実施状況」厚労省公式
タンパク質推奨摂取量厚労省「日本人の食事摂取基準2020年版」厚労省公式
健康寿命・政策目標厚労省「健康日本21(第三次)」健康日本21ページ

データを引用・転載するときの必須確認事項

確認事項理由
調査実施年(令和○年)数値は年次で変動する。最新版の確認が必要
対象集団(年代・性別・地域)「全国」か「地域コホート」かで代表性が異なる
計測方法(DXA法 vs BIA法)SMIのカットオフ値は計測方法で適用値が異なる場合がある
診断基準のバージョン(AWGS2014 vs AWGS2019等)改訂により有病率が変わる
公的統計か業界推計か引用可能性・信頼性に差がある

よくある質問

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骨格筋量指数(SMI)は家庭用体組成計で測定できますか?
家庭用体組成計で「推定骨格筋量(kg)」が表示される機種では、SMI(骨格筋量÷身長²)を自分で計算することができます。ただし家庭用BIA法は水分量・食事・時間帯・体温によって誤差(±1〜2 kg/m²程度)が生じやすいため、サルコペニアの正式な診断には医療機関でのDXA法または精密BIA法が必要です。継続的なモニタリングに活用する場合は、同条件(起床後・排泄後・食前・同時刻)で測定し、複数回の平均値で変化を判断することが推奨されます。
サルコペニアの診断基準(SMI)で自分は今どの水準ですか?
AWGS2019の基準(DXA法・BIA法)では、男性SMI7.0 kg/m²未満・女性5.7 kg/m²未満が低骨格筋量の判定となります。ただし「基準値以上=問題なし」ではなく、基準値を上回っていても筋力・身体機能が低下していれば「サルコペニア予備群」として対策が必要です。自分の現在地を正確に把握するには、医療機関でのDXA測定または精密体組成計での計測が最も確実です。(免責:本記事は情報提供を目的としており、サルコペニアの診断・治療は医療機関で行ってください。)
筋肉量が落ちると何が起きるのですか?放置するとどうなりますか?
①基礎代謝の低下、②インスリン感受性の低下(糖尿病リスク上昇)、③転倒リスクの上昇(下肢筋力低下→転倒→骨折→寝たきり)、④免疫機能の低下(骨格筋はマイオカイン分泌を通じて免疫・代謝を調節)という複合的な影響があります。サルコペニアを有する高齢者では要介護・入院・死亡リスクが有意に上昇することが複数の国内研究で確認されています。
日本人女性は男性より筋肉量が少ないのに、SMIの基準値はなぜ男性より低いのですか?
サルコペニアの診断基準は「筋肉量が多いか少ないか」ではなく、「その人の性別・年代における正常範囲からどれだけ低下しているか」を示すものです。男性のSMI正常範囲と女性のSMI正常範囲は絶対値として異なるため、それぞれの性別集団の下位2.5〜5%に相当するカットオフ値を設定すると「男性7.0・女性5.7」という基準になります。
「筋肉量が年間0.5〜1%減る」を止めることはできますか?
加齢による筋肉量低下を「完全にゼロにする」ことは難しいですが、「大幅に遅らせる・一定期間は増加させる」ことは可能です。特に運動習慣がなかった人が筋トレを始めた場合、最初の数ヶ月〜1年は「加齢による低下」を上回る「筋肉量増加」が得られるケースが多くあります。週2〜3回のレジスタンストレーニング+体重×1.2g以上のタンパク質摂取が基本的な介入内容です。
体脂肪率の「正常範囲」はどのくらいですか?
日本肥満学会・日本体力医学会等が示す目安は、男性30〜60代で10〜20%未満が標準(軽度肥満20〜25%・肥満25%以上)、女性30〜60代で20〜30%未満が標準(軽度肥満30〜35%・肥満35%以上)です。なお国民健康・栄養調査では体脂肪率の全国集計は公的統計として定期公表されていません。(免責:体脂肪率の健康リスク判断は個人の体組成・生活習慣を踏まえた総合的な評価が必要です。医療判断はかかりつけ医にご相談ください。)
この記事は、筋トレの本場ロサンゼルスで15年の指導経験を持ち、NABBA 2025 GPF優勝・LA Championship 2位・NESTA-PFT/SFT取得のトレーナーが、調布市のパーソナルジムTHE FITNESSで執筆しています。

SEC08 まとめまとめ:データを知ると、何をすべきかが見えてくる

  • 「筋肉量の低下は見えにくい」という現実:体重・BMIが変わらなくても、筋肉量が落ちて脂肪が増える「サルコペニア肥満」は40代から進行し始めます。男性肥満者割合が30.3%(令和4年調査)に達する一方で、体組成の変化に気づいていない人が多数います
  • 「診断基準を知ることが早期予防の起点になる」:サルコペニアの診断基準はSMI(男性7.0 kg/m²未満・女性5.7 kg/m²未満)・握力(男性28kg未満・女性18kg未満)・歩行速度(1.0 m/秒未満)という明確な数値で定義されています。自分がどの水準にいるかを把握することが、介入のタイミングを逃さない第一歩です
  • 「何歳からでも変えられる」はデータが支持:縦断研究と介入研究の双方が、60〜80代においても適切な筋トレとタンパク質摂取で骨格筋量・筋力・身体機能が改善することを示しています
  • 引用・参照の際の注意:BMI・腹囲の年代別実数値は厚労省「国民健康・栄養調査(第2部)」、体組成縦断データはNCGG「NILS-LSA」、サルコペニア診断基準はAWGS2019・サルコペニア診療ガイドライン2020年版が一次出典です
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参考文献・一次データ出典

  1. 1厚生労働省「令和6年国民健康・栄養調査報告」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/r6-houkoku_00001.html
  2. 2厚生労働省「令和4年国民健康・栄養調査報告(第2部 身体状況調査の結果)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/r4-houkoku_00001.html
  3. 3国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター「老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」 https://www.ncgg.go.jp/ri/lab/cgss/department/ep/
  4. 4日本サルコペニア・フレイル学会「サルコペニア診療ガイドライン2020年版(2017年版一部改訂)」 ライフサイエンス出版, 2020年4月. 学会公式:https://www.jasf.jp/ / Mindsガイドラインライブラリ:https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00426/
  5. 5Chen LK, et al. “Asian Working Group for Sarcopenia: 2019 Consensus Update on Sarcopenia Diagnosis and Treatment.” J Am Med Dir Assoc. 2020;21(3):300-307. doi:10.1016/j.jamda.2019.12.012 PMID:32033882
  6. 6厚生労働省「健康日本21(第三次)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21_00006.html
  7. 7スポーツ庁「第3期スポーツ基本計画」(2022年3月) https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop01/list/1372413_00001.htm
  8. 8厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html

本記事は公的統計・学会ガイドラインに基づいた情報提供を目的としており、医療診断・治療の代替となるものではありません。サルコペニアの診断・治療は医療機関にご相談ください。

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